湘南モノレールが開業した50年前の風景と今の風景を比較して楽しむ「湘南モノレール沿線 今昔写真撮影隊」の旅。まずは、開業当時の大船駅構内の様子から見ていきます。
開業当時の湘南モノレール大船駅
この写真を見ると、「あれ、なにか変だな?」と感じる方が、多いかもしれません。そうです。乗車ホームと降車ホームが、昔は今と逆だったのです。
当時は、改札の位置も今と異なり、現在のルミネウィング側にありました。
改札を入って向かって左側の1番線が「降車ホーム」、右手の2番線が「乗車ホーム」でした
現在の大船駅構内
ちなみに、改札外の券売所は、こんな感じでした。券売機の上の看板を見ると、現在の「新江ノ島水族館(えのすい)」が、まだ「マリンランド」という名前だったことが分かります。
昔の券売所の様子。券売機の上には「マリンランド(現・新江ノ島水族館)」の看板が
次は、国鉄大船駅への連絡通路を見てみましょう。
国鉄大船駅への連絡通路は、幅3.2m、長さ96m
今年3月~6月に連載した「湘南モノレール全線開通までの全記録」エピソード#40に、この連絡通路の写真を掲載したところ、「懐かしい!」「そういえば、こんな感じだった!」といった、たくさんのコメントをいただいきました。
次の写真はモノレール改札内から撮影したもので、改札を出て左に進むと連絡通路がありました。「出口」の看板の向こうに「国鉄連絡口」と書かれた看板が設置されています。
改札を出て左手に進むと、国鉄大船駅への連絡通路があった
この連絡通路は、1971(昭和46)年4月の国鉄大船駅橋上駅舎完成に合わせて建設されました(連絡通路の供用開始は同年6月から)。
したがって、1970(昭和40)年3月の湘南モノレール部分開業(大船-西鎌倉間)から連絡通路ができるまでの約1年間は、国鉄とモノレールの乗り換えには、いったん駅の外に出て、車の行き交う商店街を歩かなければなりませんでした。雨の日などは大変だったでしょうね。
水色の矢印が、連絡通路が設置される前の国鉄からモノレールへの乗り換え経路(提供:明細地図社)
ちなみに、国鉄駅側の連絡通路入口は、下の写真のような感じでした。
国鉄駅側の連絡通路入口
ストライキ決行中。シャッターが閉められている
さて、次の写真は、建設中の湘南モノレール大船駅を撮影したもの。どこから撮影したのでしょうか?
建設中の湘南モノレール大船駅。どこから撮影したのか?
おそらく、国鉄大船駅の跨線橋(こせんきょう)上から撮影したのでしょう。橋上駅舎が完成する以前の国鉄大船駅は簡素な木造の駅舎で、駅舎とホームは跨線橋で結ばれていました。
国鉄大船駅の木造駅舎(提供:鎌倉市中央図書館)
別の角度から見た国鉄大船駅の跨線橋。建設中の湘南モノレール大船駅の写真は跨線橋の窓から撮影したのだろう
ところで、「湘南モノレール全線開通までの全記録」エピソード#07にも記した通り、湘南モノレールは京浜急行自動車専用道路(以下、京急道路)上に建設されました。次の写真は、大船駅ホームから見た京急道路の様子です。
湘南モノレール大船駅ホームから(昔)
湘南モノレール大船駅ホームから(今)
次回、詳しく書きますが、現在バスロータリーになっている辺りには、かつては商店街の建物が並んでいました。屋上に「丸で囲んだト」の看板が見えるビルは「マルト百貨店」です。
今回の最後の写真は、京急道路上から撮影した湘南モノレール大船駅。
湘南モノレール大船駅(昔)
車両前面の行き先表示が「大船-江の島」となっており、駅の背後に国鉄駅への連絡通路が写っていることから、1971(昭和46)年7月の大船-江の島間全線開通後に撮影されたものと思われますが、京急道路の舗装の状態が、先ほどのホーム上から撮影した写真よりも良くなっているように見えます。モノレール建設工事で舗装が痛んだことから、舗装し直したのでしょうか。
同じアングルの「今」の写真を撮影すると、このようになります。
湘南モノレール大船駅(今)