1971年7月2日、西鎌倉駅-湘南江の島駅間(1.8km)が開通し、これにより、ついに湘南モノレール江の島線は、大船駅-湘南江の島駅間(6.6km)が全通した。当初予定よりも、3年以上遅れての全通だった。ちょうど、夏の海水浴シーズンであり、「海水浴場への近道」とピーアールした。
前日の7月1日には、11時から運輸省を始めとする関係政府機関、県、市の要職者、フランス大使館、サフェージュ社社長、出資会社、建設協力会社等の関係職員が参列して西鎌倉駅で開通式が行われ、次いで、新設された湘南江の島駅で開催された披露パーティーは、800名以上が集う、盛大なものになった。
西鎌倉駅ホームで行われた西鎌倉~湘南江の島間開通式
なお、全通にともない、駅施設の改善・サービス向上等の施策も行われた。まず、湘南モノレール大船駅と、4月に橋上駅舎が完成したばかりの国鉄大船駅のコンコースとをつなぐ、幅3.2m、長さ96mの高架連絡通路を新設し、6月29日から供用開始した。それまで、国鉄からモノレールに乗り換えるには、いったん駅外に出て街路を歩き、さらにホームまでの33段の階段を上らなければならなかったが、連絡通路開通によりアップダウンなく、雨天時も濡れずに乗り換えることが可能になった。
国鉄大船駅との間をつなぐ連絡通路が新設された
また、終点の湘南江の島駅の駅ビルは、1階は飲食店と貸店舗、2階、3階は貸事務所にできるようにし、4階に出改札、駅務室、5階にホームを設け、2階から4階改札までをエスカレーターで結んだ。地上13.6m(※)のホームは見晴らしが良く、近くに江の島と湘南海岸、遠くには富士山を一望できた。
サービス面では、国鉄関東主要駅との連絡運輸(通勤・通学定期券を含む)を開始したほか、運転ダイヤも「東京で飲んで帰ると、終電が23時では早すぎる」との利用者からの要望を受け、終電の時間を25分繰り下げるなどした。
■運転ダイヤ
始発 大船:5時45分、湘南江の島:5時41分終発 大船:23時25分、湘南江の島:23時28分
朝夕のラッシュ時は7.5分間隔、そのほかは15分間隔。それまで休日は終日15分間隔での運転だったが、夏季の海水浴客の利用が相当見込まれたため、不定期として、7~19時の間を状況に応じて7.5分間隔で運転するダイヤを組んだ。
■速度・所要時間
最高速度75km/h、平均速度38km/h、大船-湘南江の島間所要約13分。
■運賃
大船-湘南江の島:90円。
■車両
全線開通により、最大5編成の列車が必要になったため、予備を考慮して1編成(300形2両固定編成)増備し、6編成体制にした。増備した新車はこれまでと同様300形だったが、連結部の台車間距離を1m縮めるなど改良を加え、急カーブでの乗り心地を改善した。
※ 2018年に完成した新駅舎は、新棟5階の地上高(最大)が15.3mになった。