絵本『モノレールのたび』(みねおみつ 作/福音館書店 刊)が刊行されました。
大船駅から湘南江の島駅までのモノレールの旅が、モノレールの仕組みなども交えて
ほぼ忠実に絵本になっています。
刊行を記念して「福音館書店×湘南モノレール」特別企画を実施いたしました。
第1弾は8月27日に、『モノレールのたび』作者のみねおみつさんをお迎えし、
子どものお絵かき教室を開催しました。
第2弾は9月10日に、特別列車「モノレールのたび号」の出発式を開催。絵本の表紙を
モチーフにした特製のヘッドマークを取付け、絵本に描かれている場面や、子どもたちの作品で
車内を飾った特別列車を10月31日まで運行しました。
特別列車「モノレールのたび号」の世界をお楽しみください。
絵本『モノレールのたび』は、
町のターミナル駅から海の見える駅まで、
モノレールで旅をします。
起伏のある地形を登ったり下ったり、
ときにはトンネルを抜けて走るモノレール。
住宅地や道路が眼下に見えて、
まるで空中散歩しているかのようです。
絵本を読んでいると、
本当にモノレールに乗っているような
気分になりますよ。
東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。
8年ほど公募団体に所属しタブローを発表の後、
個展活動とともに絵本の創作をはじめる。
作者 みねおみつさんをお迎えして、子どものお絵かき教室を開催しました。
参加したのは、多数の応募者の中から当選した15名の子ども達。
当日は、湘南モノレール車両基地で本物のモノレールを間近に見学してから、
走るモノレールが見られる会場でお絵かきをしました。
参加された皆さんは、自由にそれぞれの「モノレール」を生き生きと描きました。
それぞれの作品には、みねおみつさんがコメントを寄せています。作品とあわせてご紹介します。
年中園児から小学校3年生までを対象としたお絵描き教室でしたが、基本的には教えることはしない、描画に注文をつけない、描く内容を誘導しない、という姿勢で臨みました。
対象の年齢では普段はすることがないと思われる、鉛筆による下書きを導入してみましたが、これも深く指導することはせず、自由にさせることでひとつの経験として受け取ってもらえるようにしようと考えました。
絵にも学ばなければならない技術というものは色々ありますが、それは一定の期間を掛けて習得するもので、時間単位ではとても伝えることも習得することもできるものではありません。半端な技術指導は子供の自由意志をそぐ結果にもなりかねないと考えこのようなかたちの絵画教室となりました。技術はこれからたくさん絵を描いていけば少しづつ身についていきますが、技術だけでは、人を感動させる絵は描けないと思います。
より良い絵を描くために必要なのは、技術よりも感性ではないかと考えることがあります。この感性は、誰も教えてくれません。いろいろなものを見たり、聞いたり、体験したりして、自分の力で育ててゆくのです。
今回参加された皆さんは、まさに今、自分にしかない感性を育ててゆく時期です。
絵を描くことの喜びや楽しさをたくさん味わい、指導されず自由に描くことも、感性をみがく一助になるのではないかと考えます。お子様が絵を描いたら、決して絵の技術批評することなく、絵の内容の良いところを褒めてあげてください。
みがかれた感性は、絵を描くときにも重要ですが、人として豊かに生きていく糧としても大切なものだと思います。
いま、コメントを書くために15枚の絵をみていると、15人の皆さんとお絵描き教室で出会い、過ごした楽しい時間が思い出されます。
ひとりひとりが、この世にひとつしか存在しない個性です。
どうか、これからもお子様に個性を持った絵を描き続けさせてあげてください。
将来、プロを目指す子も、趣味で描き続ける子も
自分にしか描けない絵、誰が見ても、ひとめで自分が描いたとわかるような
絵がかけるようになる事を目標にしてください。
それが本当の絵だと私は、信じています。
そして、またどこかで絵を通して会える日が来ることを楽しみにしています。
みねお みつ
年中(男児)
「しんごうやかんばんや はしらや レール、いろんなものがかいてあって、たのしいね。たのしいえを これからもたくさん かいてください。ピンクリボン号もかっこよくかけましたね。」
全体のバランス感覚が良いです。しかも、ひとつひとつのアイテムが、モノレールと関連していて、彼がモノレールのことを絵で伝えようとする意思を感じます。これからも画面いっぱいに、気持ちをぶつけるようなのびのびとした絵を描き続けてください。
年中(女児)
「むかしのちきゅうをはしる モノレール、すごくあつそうな ちきゅうが、よくかけていますね。このえの、モノレールに のりたくなりました。これからも いろんな えを たくさんかいてください。」
力強く隙間なく塗り込む描き方は迫力があってすごいと思いました。何も描いていない空間を赤い色でバランスさせてしまう色使いと平面構成は そうそうできるものではないですね。この赤は?と尋ねたら「昔の地球!」と答えてくれました。
年長(女児)
「モノレールのうんてんしゅさん、やさしそうですね。おんなのこと なにを はなしているのかな?みていて えのなかに はいりたくなるような、えが かけましたね。これからも こんな たのしいえを たくさんかいてください。」
真ん中に主題のモノレールを大きく描くという素直な表現の仕方がとても良いです。運転手さんも描き入れモノレールをリアルに表現しようとしています。その上、女の子を配してこの絵に物語性を加えています。このように多重的に絵を組み立てる意識を大切にして絵を描き続けてください。
年長(女児)
「えがたくさんかいてある、とってもたのしいモノレールがかけましたね。まちのようすも、いろいろな いろでかかれていて たのしそうです。えをみて、こんな まちに すんでみたいなぁ とおもいました。」
絵の中の世界と現実の自分の世界とが違和感なく共存できているような感じを受けました。車やお店がバランスよく配置されて、色も自分の感覚でバランスよく使えていますね。もっともっとたくさん描いて この自分の世界をひろげて下さい。
小1(男児)
「まちにある いろいろなものをよくみてこまかいところまでしっかり かいていますね。のりもののえほんを かくときには、かくものをしっかりみることが だいじです。みんなが たのしめる えほんを たくさんかいてくださいね。」
色々なものがモノレールを中心にバランスよく配置されていて、その一つ一つが細かく描き込まれています。良い意味でとても好奇心が強い子のように感じました。これからも色々な事に興味をもち、絵を描くことにつなげていってください。
小1(女児)
「さかなたちがおよいでいる うみのうえをはしる ピンクモノレール。とってもたのしいえがかけましたね。あおいそらとしろいくも もきれいですね。これからもこんなたのしいえを たくさんかいてくださいね。」
構図のバランスがとても良いと思いました。色も丁寧に塗られていて絵をしっかり描こうとする意欲が感じられます。想像の世界をきちんと一枚の絵に仕上げるという作業は案外大変ですが良くこなしていると思います。
小2(男児)
「モノレールが にほんに でんしゃが いっぽん ならんで きょうそうしているみたいで たのしいね。モノレールもでんしゃも こまかいところまで よくかけていて ずかんをみているようです。」
画面いっぱいを使って三本並べる構図が新鮮です。各車両も特徴をとらえて良く描けていると思います。描き込んだ線画を主にして色を抑えた画面も統一感があり、なかなか良いセンスの構成になっていると思いました。
小2(女児)
「モノレールがはしっているおとが きこえてくるような とってもいいえがかけました。おひさまとあおいそらもいいですね。えのなかのこどもが たのしそうで えをみているひともたのしくなってしまいます。これからもたのしいえを いっぱいかいてください。」
線路とモノレールの存在感が良く表現されていると思います。信号や自動車や木や子供の大きさが効果的に作用しています。しっかりと描かれた支柱もその存在感を表現しています。いいセンスです。なかなか計算しても出来る事ではないと思います。
小3(男児)
「まえからみたモノレールを おおきくかいています、はくりょくがあってとても いいえですね。ガイドローラーやワイパーもちゃんとかいてあって よくみているなぁと おもいました。これからも よくみていろいろなえを かいてくださいね。」
真正面から大きくとらえた細部まで良く描かれたモノレールと デザイン的に省略化されたビルや自動車が対象的でとても面白い構図だとおもいます。色の使い方も変化をつけてリズミカルな雰囲気を感じさせてくれる作品になりました。
小3(男児)
「こまかいところまで、ちゃんとかいてありますね。たいへんだったでしょう。でもモノレールがはしっているまちのようすが えのなかからとびだしてくるように よくわかります。これからもじぶんがつたえたいことをえにして いっぱいかいて ください。」
モノレールの線路を右下がりにして画面に動きを作り、山の稜線が画面中央を斜めに横ぎり電車へとつながる、動線を上手く使った構図になっています。カーブして正面へ向かう電車をあえて描くなど、絵が次の段階へと成長していると感じました。がんばってください。
絵本『モノレールのたび』刊行記念特別企画第2弾として、2017年9月10日~10月31日まで、
特別列車「モノレールのたび号」を運行しました。
運行初日の9月10日には、「モノレールのたび号」の出発式を行いました。
出発式は、湘南モノレール・オフィシャルサポーターDJ・HAGGYさんが総合司会を務め、
作者のみねおみつさん、福音館書店かがくのとも編集長 川鍋雅則さんをお迎えし、
お絵かき教室で選ばれたこども駅長の2人がヘッドマークを進呈しました。
モノレールに乗りながら絵本の世界をお楽しみいただきました。
絵本には実際の「湘南モノレール」の車内や沿線の様子が描かれています。
絵本に登場する駅や景色をご紹介した「ロケ地おさんぽマップ」を
みねおみつさんに特別に描き下ろしていただきました!
マップ表面は、ロケ地お散歩マップ。マップ裏面は、湘南モノレールの魅力や秘密を紹介しています。
ぜひマップを手に湘南モノレールに乗って、絵本と実際の景色を比べてみてください。