湘南モノレールが開業した50年前の風景と今の風景を比較して楽しむ「湘南モノレール沿線 今昔写真撮影隊」の旅。今回は、片瀬山駅周辺の様子を見ていきます。
モノレールは、西鎌倉駅から片瀬山駅の少し先の峠(路線中最高の海抜65m)に向かって急こう配を上っていきますが、この峠付近の道路は、上りこう配最高86‰、曲線半径80m、下りこう配80‰と、鉄道を通すには、かなり過酷な条件になっています。
こうした条件を緩和するために、片瀬山駅付近から峠の頂上までは、路盤を約1.8m削り下げるなどし、モノレールの軌道は、こう配74‰、曲線半径92mの範囲に収めました。
また、坂の中腹に位置する片瀬山駅は、地方鉄道建設規定(当時)で許される駅の最大こう配10‰の条件に適合させるために、駅手前の支柱を標準より3~4.5m高くするなど、全体的な調整を図りました。
片瀬山駅付近の昔の写真は、あまり数が多く残っていませんが、モノレール建設工事の様子を写した写真がありました。
片瀬山駅付近のモノレール建設工事の様子
ほぼ同位置の現在の様子
続いて、駅付近を走行するモノレール車両、駅舎、ホームの今昔写真をそれぞれ掲載しておきます。
片瀬山駅付近で、地面に少し潜るように走行する車両(昔)
片瀬山駅付近で、地面に少し潜るように走行する車両(今)
駅舎は、2002(平成14)年にバリアフリー化対応でスロープが設置されたのが、大きな変化ですね。
片瀬山駅の駅舎(昔)
片瀬山駅の駅舎(今)
ホームは、屋根の長さが変わりました。また、開業時は2両編成で運転していましたが、現在は3両編成になったので、同じ位置から撮影すると、車両の先頭が写らなくなりました。
片瀬山駅ホーム(昔)
片瀬山駅ホーム(今)
ちなみに片瀬山は、モノレール開業前後に、駅周辺の様子が大きく変化した場所です。
片瀬山駅から目白山下駅の北側の、現在は瀟洒(しょうしゃ)な住宅地になっている一帯は、湘南モノレールが開通する少し前まで広大なゴルフコースがありました。
このゴルフコースは「兜町の風雲児」と呼ばれた相場師・佐藤和三郎氏が1955年頃に造成したもので、ホテルも併設されていました。ホテルがあった場所は、現在の湘南白百合学園中・高校の敷地の少し北側です。
江之島ゴルフコース。ホテルも併設されていた
1965(昭和40)年の周辺地図(提供:明細地図社)。地図の上のほうに「江の島観光ゴルフ場所有地」の文字が見られる
さて、今回の最後は、すぐ近くをモノレールが走行しているプールの写真です。この「片瀬山プール」は、「片瀬目白山」交差点付近にあり、1980年代中頃まで営業していたそうです。
片瀬山プール