湘南モノレールが開業した50年前の風景と今の風景を比較して楽しむ「湘南モノレール沿線 今昔写真撮影隊」の旅。今回は、大船駅を出て、駅周辺の様子を見ていきましょう。
大船駅東口駅前は、昭和の終わりから平成のはじめにかけて再開発事業が行われたため、変貌が激しく、今昔写真を撮影するのはなかなか難しいかもしれません。
まず、鎌倉市中央図書館からお借りした、かつての大船駅東口駅前の写真を見てみましょう。
かつての大船駅東口駅前(提供:鎌倉市中央図書館)
中央に写っている昭和堂書店の右側が京急道路、左側が県道で、2つの道路に挟まれるように川の中州のような商店街がありました。この商店街は再開発事業で消滅し、現在は大船ルミネウィングやバスロータリーの一部になっています。
次の写真は、現在の東口バスロータリー付近の様子を写したもの。
現在の東口バスロータリー付近にあった「みやもと」旅館など
旅館「みやもと」という看板が写っていますが、この「みやもと」旅館は、どの位置にあったのでしょうか? 1970(昭和45)年の大船駅周辺の地図を見てみると......。
1970(昭和45)年の大船駅周辺の地図(提供:明細地図社)
地図の左端、現在は葬祭場・レンタカー店になっている辺りが「みやもと旅館」だったことが分かります。ちなみに、みやもと旅館の隣が、大船石油(シェルのガソリンスタンド)、さらにその隣が湘南家具センターでした。
大船駅周辺を俯瞰(ふかん)した写真(おそらく湘南家具の屋上から撮影)を見ると、手前のガソリンスタンドの奥にピンク色の壁に青い屋根瓦の建物が見えますが、これがみやもと旅館です。
大船駅周辺を俯瞰した写真(昔)
大船駅周辺を俯瞰した写真。大船ほうさい殿様屋上より撮影(今)
横須賀線の線路脇に建ち並ぶ平屋の建物群は、国鉄職員用の国鉄官舎です。その脇の京急道路上空をモノレールが走り、京急道路と県道の間に、川の中州のような商店街があった、当時の大船の街並みが非常によく分かります。
次の写真は京急道路と県道が交わる辺りで撮影されたもの。現在の「大船駅東口 交通広場前」交差点付近です。周りの風景は様変わりしていますが、モノレールの軌道桁(線路)を支える「7字型」の支柱(数本しかない珍しい型の支柱)の位置は、昔も今も変わらず、撮影位置を特定する目印になります。
京急道路と県道が交わる場所(昔)
「大船駅東口 交通広場前」交差点付近(今)
同じ交差点を、もう少し遠くから撮影した写真もありました。右手の「まると百貨店」は、前回掲載したモノレールホーム上から撮影した写真にも写っていたビルですね。
商店街の先にモノレールの軌道が見える(昔)
次の写真も同じ交差点を別の角度から撮影したもの。モノレール建設以前の古い写真です。右にガソリンスタンドの「SHELL」の看板、その奥に湘南家具センターの「湘」の文字が見えるほか、「専用道路につき駐車および物品放置禁止 京浜急行」と書かれた看板も確認できます。
「Shell」の看板、湘南家具センターの看板の「湘」の文字が見える
最後に、もう少し富士見町寄りの、小袋谷跨線橋への分岐の交差点付近で撮影された写真を掲載しておきます。モノレールの軌道が描く、見事なS字カーブは昔も今も変わりありません。昔は、ここからも観音様が見えたのですね。
モノレール軌道が描くS字カーブ(昔)
モノレール軌道が描くS字カーブ(今)