西鎌倉駅-湘南江の島駅間は、難工事が多かった。とくに難しい工事になったのが、片瀬山駅付近の峠越えの部分と片瀬山トンネル(目白山下駅-湘南江の島駅間)の掘削だった。
モノレールは西鎌倉駅を過ぎると、片瀬山駅の少し先の峠(路線中最高の海抜65m)に向かって急こう配を上っていくが、この峠付近の道路は上りこう配最高86‰(パーミル)、曲線半径80m、下りこう配80‰と、鉄道を通すには、かなり過酷な条件になっている。
片瀬山駅付近の工事風景
こうした条件を緩和するために、片瀬山駅付近から峠の頂上までは、路盤を道路面より約1.8m削り下げるなどし、モノレールの軌道は、こう配74‰、曲線半径92mの範囲に収めた。また、坂の中腹に位置する片瀬山駅は、地方鉄道建設規定(当時)で許される駅の最大こう配10‰の条件に適合させるために、駅手前の支柱を標準より3~4.5m高くするなどし、全体的な調整を図った。このため、片瀬山駅の手前では、モノレールの車窓からの景色は、やや大げさに言えば飛行機で飛んでいるような感じがする一方で、駅を過ぎた先では、道路よりも掘り下げられた低い位置を半地下鉄のように走行するなど、変化に富んだ車窓風景が楽しめる区間になった。
片瀬山駅の先では道路面と同じか、道路面より低い位置を走行