湘南モノレール開業に当たって選択を迫られたのが、中間駅を有人にしてワンマン運転にするか、無人にして車掌を乗務させるかであった。これについては、乗客の安全、設備・費用等の観点から様々な検討が行われた。
まず、中間駅を有人駅にしてワンマン運転を行う場合、各駅に最低限1人は駅務員を置き、乗客の安全、列車運行の保安に当たることになる。そうすると駅事務室、宿直所、トイレ等の設備が必要となり、湘南モノレールの場合は道路上に駅を設置することから、駅舎のスペース、下水処理等の問題が生じ、駅用地の買収面積の増大等、大幅なコスト増につながる。
一方、無人駅にする場合、湘南モノレールの規模の輸送量であれば、車掌によって保安の確保もでき、乗車券の集札に当たらせることも可能だが、不正乗車と盗難が懸念される。
人件費の観点で見ると、中間駅6駅に1人ずつ置けば6人、一方、車掌を乗車させる場合はラッシュ時に最大5列車運行するので5人、これにそれぞれの交代要員倍率を乗じたものを比較すると大差がなかった。
湘南深沢駅構内にあった売店
こうした検討の結果、中間駅を無人化することになったわけだが、懸念された不正乗車は沿線住民のモラルが高く、問題になるほどではなかった。ただし、乗車券自動発行機の金銭盗難はわずかながら発生したことから、のちに発行機室内に警報装置を設置した。
そのほか、無人駅にはホームへの昇り口に簡易シャッターを設けたが、これは始発・終発の車掌が開閉するようにした。また、一部の駅には当時、売店を設けて委託営業を行い、両替や簡単な案内を売店で行ってもらうなど、無人駅化による旅客サービスの低下やトラブル防止につながった。