鎌倉山では、懸垂型モノレールとしては世界初となるトンネル工事(鎌倉山トンネル 451m)が行われた。設計は日本交通技術㈱に依頼し、トンネル壁面に支柱に相当する強度を持たせ、その上に走行桁を支持する骨組を約5m間隔で設置した。
トンネル掘削の工法としては、まずは底に導坑を掘り、上から切り広げていく導坑先進工法を採用した。また、土砂の搬出はトンネル掘削工事用機関車が牽引するトロッコを用いた。
このトンネル工事の様子もビデオに残されているので、見てみることにしよう。
【ビデオ音声】
鎌倉山をトンネルで抜ける。
全長450m。ここでは、まず底に導坑を掘り、上から切り広げていく工法が用いられた。
この鎌倉山の区間をトンネルにした理由は前にも述べた通り、急こう配と急カーブが続く京急道路の線形上の問題や、「桜並木を切られ、風致を害する」と住民からの反対があったことによるが、トンネルにしたからこそ長い直線を確保でき、路線中の最高速度である時速約75kmでの走行が可能になった。湘南モノレールが「江の島への近道」と言うことができるのは、このトンネルのおかげとも言える。
なお、トンネル掘削により工事費用が割高になると予想されたが、実際には路線が約100m近く短くなるので、むしろ少し割安になった。
西鎌倉駅建設工事の様子
西鎌倉駅は、付近の京急道路が曲線になっていて、十分なホーム長が取れなかったため、道路から少し外れた土地を駅用地として買収し、道路とほぼ平行に島式ホームを設置した。同駅は開業当時、西武不動産など数社が宅地造成を進めていた、ほぼ中心にあたる場所に位置し、現在も湘南モノレールの主要駅の1つになっている。