湘南モノレール大船駅および駅付近の支柱等、モノレール構造物は、京急電鉄用地(京急道路)と国鉄用地(国鉄官舎用地)の用地境に建設する予定であり、支柱の何本かは国鉄用地に立てる必要があった。
建設工事中の湘南モノレール大船駅。駅舎およびホームは京急道路上空に建設され、支柱は国鉄官舎(写真右の平屋の建物群)用地との境界に立てられた
そして、この国鉄用地は、将来、再開発事業(都市計画事業)実施の際、国鉄から鎌倉市へ払い下げがなされるべく協議が進められていたことから、国鉄および鎌倉市との微妙な調整が必要になったのである。
湘南モノレール足立一郎社長から山本鎌倉市長宛の念書(複写)
国鉄から湘南モノレール足立一郎社長宛の書簡(複写)
結局、国鉄からは、国鉄用地については「都市計画事業実施にいたるまでの暫定措置として、用地を使用されることはさしつかえない」という条件付きでの使用を認められたに過ぎず、また、鎌倉市に対しては、将来、都市計画事業が本決まりになった際には、その計画に従い、路線を移線する旨の念書を提出せざるを得ないなど、なんとも中途半端な状態で建設工事を進めなければならなかったのである。(※)
さらに、1本の支柱の位置が、将来の都市計画道路の予定地と重なっており、その調整が長期にわたって続くなど、大船地区のすべての用地問題が解決したのは、大船-西鎌倉間の開業が4ヶ月後に迫る、1969年11月中頃だった。
※ 大船駅前整備事業は、1972年に都市計画決定されたものの、その後、長期にわたり事業実施には至らず、計画の一部が実行され、再開発商業ビル(ルミネウィング)等が完成したのは、20年後の1992年になってからだった。