第1期線(深沢―町屋)の工事がほぼ完了すると、1969年2月上旬には三菱重工三原製作所で製作した第一編成の車両が到着し、線路上への上架(吊り上げ)作業が行われた。上架作業は軌道桁端に設けた開口部から、まず台車を入れ、車体をロープとチェーンブロックで吊上げて懸垂リンクで結合する方法によった。
車両の製造、搬送、上架作業の様子もビデオで見てみよう。
【ビデオ音声】
三菱重工三原工場。ここでは今、車体が急ピッチでつくられている。
湘南モノレールは、車体に耐食性軽合金の横力外皮溶接構造を採用した。
航空機と同じように軽くて強いこの車体は、満員のときには160名の乗客を乗せることができる。
この台車が快適な乗り心地をつくり出す。
駆動車輪は、自動車と同じように差動装置があるので、急カーブでも楽に回れる。
これは、水平案内車輪。
台車と車体をつなぐ懸垂装置にも工夫を凝らしてある。
安全鋼索は、台車と車体が絶対に離れないための万全の装置。
オイルダンパーとストッパーは車体の揺れをコントロールする。
工場では、車体の厳密なテストが行われる。乗客が乗った場合と同じ加重をかけて、車体各部にかかる力と、それに対する車体の反応を調べる。
検査に通って、初めて現場へ運ばれるのである。
湘南の現場に車体がやってきた。
台車が吊り上げられ、これから離れることのない桁と合流する。
バスを逆さにしたような車体が吊り上げられ、台車に取り付けられる。
台車と車体をつなぐピンの取り付け。万一の場合に備え、台車の中には安全鋼索がある。
なお、ビデオの解説に含まれていないので補足すると、湘南モノレール初代300形を設計したのは、小田急ロマンスカーSE車、新幹線0形車両等の設計に極めて重要な役割を果たした三木忠直氏(湘南モノレール常務取締役・技師長)である。