続いて、支柱や軌道桁など、懸垂型モノレールの構造物の製作の様子を見ていこう。
まず、支柱は、強度からすれば門形が優れているが、基礎工事の箇所をできるだけ減らす必要から一部を除いて逆L字型を採用した。また、支柱の断面形状は角断面のほうが強度的に優れているが、京急道路は、もともと京急バスの運行を主としているので、バス運転手の視認性の観点から、死角の少ない円断面を採用した。
支柱・軌道桁の製作の様子もビデオに収められている。
湘南モノレール江の島線建設の記録(構造物製作)
【ビデオ音声】
工場で支柱が作られている。厚さ30mmの鋼材を切断する。
支柱は強度などの点から、直径1m20の鋼管を使った。
桁のための鋼材。道路や住宅に当たる光を遮らないように、軌道桁はできるだけ断面を小さくした。
桁と桁が接する面に誤差があると、全体では大きく狂う恐れがある。端面を慎重に仕上げる。
そして、現場へ送る前に、工場内で現場と同じ状態に仮組みして、各部を綿密に調べる。
トピック 特殊な形状の支柱
湘南モノレールの軌道桁を支える支柱の形状は、そのほとんどが、支柱上部から片側方向にアームが伸びる逆L字型である。しかし、よく見ると、変わった形状のものも少数ながら見られる。
大船駅周辺で数本見られるのは、逆L字型の変形である7字型ともいうべきものである。これは、京急道路からはみ出る用地面積をなるべく小さくしたいという、用地取得の問題からつくられたものである。また、交換駅のポイント付近で複線になる部分や深沢から鎌倉山への上り坂などでは門形も見られる。
さらに、大船側から横須賀線を越えた先で、路線で唯一の大きなアーチ型(富士山型)の支柱をくぐりぬける。これは当時、鎌倉市から「将来、都市計画道路(幅12m)が通るので、それに支障がないように支柱を置いてもらいたい」という要望を受けてつくられたものである。
7字型の支柱
アーチ型(富士山型)の支柱