「完全に一致」というネタがあります。
明らかに違う2つのものが偶然なんとなく似ていることを愛でる、インターネット上の文化です。
ときに、街には様々な形があふれています。
街では、あらゆるものの「完全一致」が見つかるのでは。
去年そんなことを突然思ったものですから、街で見かけた完全一致をなんとなく集めていました。
このお話をちょっと前に編集長の宮田さんにしたところ「しょもたん※の完全一致も見つけられるの?」と聞かれました。
※しょもたん: 湘南モノレールのマスコット。好物は鎌倉野菜と湘南の海の幸。
「はい完全に居ますね!」と即答しました。
そのあと、改めてしょもたんを見ました。
あっれ。パーツめちゃくちゃ多いな。こんな形見つかるかしら。
ただ、悪いことばかりではありません。
今回は湘南モノレール沿線の街で探す、という優しいルール。
沿線なら、もしかして......?
しょもたんが誕生したのは平成25年だそう。
今は令和2年。この6年の間に、しょもたんの描かれたモノレールが沿線の街を擦り続けていると考えれば、少しずつ少しずつ、しょもたん成分が沿線に漏れ出していても不思議ではありません。
沿線でしょもたんの完全一致探し、引き受けましょう!
そんなわけで、改めまして、散歩の横好き集団、サンポー編集部です。
普段はサンポーというサイトで、有象無象を愛でる散歩をしています。
全く人様のお役に立ちませんが、街の現象が大好きです。
今日、しょもたん探しのために湘南深沢駅に集まった散歩者は以下の3名です。
ぜつ
個人タクシードライバーだから電車に殆ど乗ったことがない。今日も湘南深沢駅まで車で来た。
王田土人
街路灯観察家。街灯図鑑と称して街灯の絵を描いている絵描き。
ヤスノリ
サンポーを主催しているお散歩おじさん。特技は特にないけどこれを書いている。
編集長の宮田さんも参加してくださったのですが、今考えると心配だったんでしょうね。
それから、街から見つけるお題として、しょもたんだけでなく、湘南モノレールロゴマークの「M」も探すことになりました。
これは易しそうだ......これも、今考えると心配だったんでしょうね。
改めて散歩のルールを説明します。
・街の中から「しょもたん」「湘南モノレールのロゴマークのM」に一致するものをみんなで探して、最も一致しているものを決めよう。
・ただし、本物のしょもたん・湘南モノレールのロゴマークや、それを意識して描いた絵などはダメ。
さて今回、どのくらい一致しているかを公正に計るために超絶ハイテクシステムを用意しました。
名付けて「完全に一致君β」です。
どんな動きをするのか。
例として「おにぎり」と「布団にくるまった私の妻」の画像を入力してみましょう。
「完全に一致君β」は、こんな感じで一致率を算出してくれます。
僕は100%なんじゃないかと思ったのですが、58%と出ました。
一致率にあまり納得がいっておらず実戦投入するのに若干の不安が残るのですが「β(ベータ)」とつけると何でも許されるのではないかと思っているふしはあります。
見つかりまくるM
そんなこんなで、スタートです。
まずは湘南深沢駅から、西鎌倉駅へ徒歩で向かいます。
ちなみに湘南深沢駅の北側は野原で、降りたとき「無でやばい」と思ったのですが、南側はにぎやかな商店街で良かったです。
さて、歩き始めてすぐにMを捕獲しました。
ここにもM。
そういえばMコーヒーって何だろうとあとで調べたらミルク&マイルドのMでした。
さて、予想はしておりましたが、形としてのMはアホみたいに簡単に見つかります。
フェニキア文字に「メム」として登場するMは、紀元前2000年生まれ。
4000年の歳月を経て、それは世界中に拡散しているのでした。
初の手応え
Mそのものはいっぱいあるのだから、もっと湘南モノレールの「M」に寄ったMがあるはず、とみんな高望みしはじめました。
そんなときに見つけたのがこれ。
宮田「これは湘南モノレールのMなのでは......」
ヤスノリ「色も形も完全にパクってますね。恥ずかしくないのかな......」
早くも100%の完全一致が見つかりました。
ねんのため「完全に一致君β」で一致率を計算します。
ヤスノリ「もっと両端が広がってたらよかったのかな......それにしても67%は低いな」
ぜつ「えっこれ中では何の......計算をしてるんですか?」
ヤスノリ「僕もよくわかってないです。Qiita(技術者向けの情報共有サイト)で見たプログラムを真似して作ったから」
王田「よくわからないものに判定を預けている不安がすごいな」
まあ、どんまいです。
さらに行く。
湘南クッキーの自販機だ。
湘南地域限定でクッキーを販売しています。
個性的なラインアップなので、クッキーの形で完全一致したら面白いと思ったのですが、さすがにそんな都合の良いクッキーは無かったです。
山越えと自然のM
湘南深沢駅と西鎌倉駅の間には山があり、お店が途切れてきました。
人工物が減ってきます。ここからは自然の造形に頼る方向になりましょうか。
繁殖力がすさまじいことでおなじみ、ヒメツルソバ。
排水で増えた2つのヒメツルソバ群が結合してMのようなものを成しています。
ヤスノリ「一致率80%と出た。かなり高いですね」
宮田「えー! おかしいでしょ!」
ぜつ「この2つを『完全に一致』ってツイートしてもいいね一個ももらえないですよ」
ヤスノリ「まあ、β(ベータ)が言うことですので......」
畑のM。
一致率67%。そんなもんだな。
下るとき、木々と富士山が創り出すM。
一致率70%。
一致率はさておき、山に入ってもMはたくさん見つかりました。
フェニキア文字は一文字ずつに意味があるとされ、M(メム)は一説には水を表すのだそう。
自然から生まれたMが自然と相似をなすことは、自明なのかもしれません。
そろそろ街が見えてきました。
遠くに見える大きな施設は給水塔だそう。大判焼きみたい。
完全一致しているのに
山を下ってすぐのところにあったベンチ。
王田「このベンチの......」
王田「ここの形はロゴのMにかなり近いのでは......」
ヤスノリ「そのものだ!!」
そう、こんな感じで、湘南モノレールのMの両端は、垂直ではなく開いているのです。
これについてのお話は中野健太さんのnoteを読んでいただくとして、この椅子の背もたれは生き別れた双子のよう。
完全一致は疑いようがないのですが、ねんのため「完全に一致君β」で一致率を計算します。
ヤスノリ「33%だって」
ぜつ「人類と意見が合わない」
ヤスノリ「β(ベータ)なので......」
ところで、本命の「しょもたん」ですよ。Mのことしか考えてなかったな。
果たしてしょもたんは見つかるのか。
(第2回に続く)