毎度「ジェットにGO!GO!!」をご覧いただき、ありがとうございます。前回から始まった湘南深沢編の第2回目です。湘南深沢駅はモノレールの中枢にある駅です。今回も様々な魅力を見つけてゆきましょう!
■ 【mission 10】-湘南深沢編- 望遠レンズはお好きですか?
みなさまは写真を撮るときに、どんなレンズを使っていますか?今どきの最新スマホには沢山のレンズが付いていて、撮影の時々でその中から良いものが自動で選択されるそうです。すごい時代となりました。その中でいまだ、一眼カメラと言われる高級カメラは、マニュアル動作が多い世界だなと感じます。ここにはどのような違いがあるのでしょうか?
カメラやレンズはあくまで道具...。その道具を人間の直感に頼って、マニュアル的に操ることで、写真は個性や味が宿ります。現代において、「コンピュータが選ぶ最適解」とは違う答えが出せることが、人間の個性なのかもしれません。
さて、今回はカメラのレンズのお話です。望遠レンズは「遠くにあるもの大きく写すためのレンズ」というと理解しやすいと思います。写真の世界では50ミリが"標準レンズ"とされています。人間の見ている感覚に近いのが、標準レンズの特徴です。そしてこの50ミリを境に、数字が大きいものが"望遠レンズ"に分類されるのです。望遠レンズは人間が普段見ている世界と違った感覚が味わえるのです。
今回撮影で使用したレンズは150~600ミリの"超"がつくほどの望遠ズームレンズです。鉄道写真の世界でも望遠レンズは多く使いますが、やはり600 ミリは別格です。600 ミリはカワセミやレーシングカー、はたまた飛行機などを撮影するときにも使う、まさに憧れのレンズです。実は鉄道写真の世界でも、超望遠はとても重宝しています。今回はこのレンズで列車がどのように写るのか、超望遠レンズの世界をご紹介しましょう。
今回の撮影場所は湘南深沢駅の湘南よりにある坂道です。この写真の奥に写っている場所が撮影地です。坂道は少し長いですが、いい運動ですよ。大きな県道と交差をする場所です。前回でご紹介したように、湘南深沢駅は谷間にある駅です。列車は西鎌倉駅に向かって勾配を駆け上がります。その場面を望遠レンズで狙ってみましょう。
望遠レンズが鉄道写真で好まれる理由は、写真の中に圧縮効果が生まれることにあります。圧縮効果によって、被写体と背景との距離感が強調されるのです。こちらにある写真は望遠レンズの200ミリ付近で写したものです。肉眼では列車と背景には大きな距離感を感じますが、望遠レンズを使うとこのように後ろの風景も強調されて写るのです。200ミリでこの効果ですので、一度600ミリを使うと・・・。
このようにドドーンと写すことができるのです。 望遠レンズの効果はすごいのです。圧縮効果と同時に画面の中では、何も写っていない「余計な空間」が少なくなりました。その結果、列車本体に注目がゆきます。写真には緊張感が生まれ凛々しく写りました。
こちらも600ミリを使っての撮影です。先ほどよりもさらに緊張感を演出するために、フレームアウトという技法を使っています。フレームアウトとは被写体の全容を捉えるものでなく、写真の枠をはみ出して躍動感や緊張感を表現する方法です。この時は列車の前面に付けられたマークが気になったので、この手法で撮影をしました。可愛らしいタッチで描かれていますね。
湘南モノレールの車両はヘッドマークの付け替えが多いので、撮影のワンポイントとして積極的に狙ってゆきたいですね。
今の超望遠レンズは以前のものに比べて、とても軽量で高性能です。十数年前の撮影テクニックを紹介した書籍では、「超望遠レンズを使うには、筋肉を鍛えること」と書かれていたほどです。(本当です)「筋肉は裏切らない!!」のパワーで乗り切っていました。今では、超望遠レンズながらも手ぶれ補正がしっかりしているので、集中して撮影に取り組めます。
望遠レンズの圧縮効果はこんなところでも大活躍です。写真の中に手前の軌道を入れることで、奥の上り坂との高低差を表現しました。両者の距離は900メートルほど、離れていますが、一枚の写真に収めることができました。これも超望遠のなせる力技です。
望遠レンズは人間の見えている感覚よりも、相当に"うなって"写ります。坂の地形を利用して、不思議な遠近感に写るよう工夫をしています。改めてモノレールの偉大さを考えてしまいました。
さて次回は湘南深沢駅の近くで、どのような写真が撮れるのか。まだまだ「ジェットでGO!GO!!」湘南深沢編は続きます。