バラ園を堪能したあとは、グリーンハウス(温室)へ。風の冷たい日だったので、しっとりと暖かい室内へ足を踏み入れた瞬間、生き返るような気がしました。冬場の温室は救世主のよう。
この日はちょうどクリスマスイブ。各所に施されたクリスマスの飾りが、草木に彩りを添えていました。
進んでいくと、不思議な空気をまとったオブジェが出現。
なんだろう、植物のような、生き物のような......。
ちょっと怖い。だけど無性に気になる......。
近くに設置してあったパネルを見て、こちらはテキスタイルアーティスト・寺村サチコさんの作品だとわかりました。グリーンハウスでは、随時、植物にちなんだ展示会が開催されているようです。このとき開催されていたのは、寺村サチコさんの「ゆりかごに棲む」という個展。
寺村さんは、女性の持つキラキラとその裏に潜むドロドロに魅力を感じ、それらを同時に感じさせることのできるような立体造形物を制作されているそうです(寺村さんのHPより)。
私は一目で寺村さんの作品に引き込まれてしまいました。
繊細で透明感のある見た目とは裏腹に、細部はグロテスク。だけど、どこか可愛らしさも残っていて......。気がつけば、誘い込まれるように、中を覗きこむ自分がいました。
絶対に見たことがないものなのに、なぜか見覚えがあるような、そんな感覚に陥りました。
時が止まったようにしんとしているグリーンハウスの中、作品たちのかすかな呼吸音が聞こえてくるような気がしました。
グリーンハウスという素晴らしい美術館で、心の栄養というすてきなプレゼントをいただきました。