えのすいを出たあと、そういえば前回は天候不良のため江の島岩屋(江の島の奥にある洞窟)へ行かれなかったことを思い出しました。ということで、日没までまだ時間があったので、岩屋へ行ってみることにしました。
しかしこの日は、生憎べんてん丸(江の島弁天橋の中腹から稚児ヶ淵までをつなぐ遊覧船)が欠航していたので、歩いて岩屋へ向かうしか方法がありませんでした。岩屋は江の島の最奥にあるので、徒歩でたどり着くのはなかなか大変......。
エスカーを駆使し、小一時間歩いてようやく岩屋へたどり着きました。
ひとつだけ岩屋にまつわる思い出があります。私が小さいころ、まだ岩屋がいまのように整備されておらず、だだっ広くて真っ暗な洞窟だった時代、中を覗いたことがあるのです。祖父の「ここはコウモリがたくさんいるんだよ」というセリフ通り、水滴が滴り落ちる暗闇の中に大量の黒い塊が飛び交っていて、震え上がったことを鮮明に覚えています。
私は、この写真で、外を眺めている人たちのポジションから、中を覗き込んだのだと思います。
入り口で手燭を渡されました。
温かなオレンジ色の光がゆらぐ洞窟の中は非常に幻想的でした。あのとき見た恐ろしい岩屋の姿が嘘のよう......。
岩屋の外の通路では、砕け散る波の様子を間近で観察することができ、なかなかにスリリングでした。波立つ海面は、雲海のようにも見えました。
来た道を戻ります。急な傾斜に息が上がります。
湘南江の島駅から湘南モノレールに乗り、帰路につきました。ホームにも、車内にも、夕方の柔らかい光が差し込んでいました。