佐藤 それから3つめ。最近気づいたんですけど、Sバーン(鉄道)をアンダークロスしてるんですね。
八馬 お? あのアーチ橋のやつ?
佐藤 そうそう。
八馬 しかも川を跨ぎながらだし、川を跨いでる橋の上も跨いでるんですよね。
宮田 どういうことです?
佐藤 モノレールのほうが鉄道の線の下を走って、その下に道路がある。
八馬 異常ですよ異常。
尾渡 そんなこと全然考えて乗ってませんでした(笑)。あるがままに受け入れてました。
西村 動物園駅のちょっと前ですか?
八馬 そうですね。
佐藤 ここがもう動物園駅なんで。すぐです。
角田 下からいうと、川があって道路があってモノレールがあってSバーンがあると。
佐藤 そうそう。だからたぶん鉄道線のほうが先にできたあとでここを通したんだと思います。普通だったら上跨ぐわけじゃないですか。でもこの場合どう考えても上を跨ぐのは無理なので、下を通したという。
八馬 相当無理してるんですよ、ここは。しかもモノレールの下に道路橋があるという。
角田 川に架かっているSバーンの下に...。
八馬 そうそう、ここ通せるって思ったんでしょうね。
宮田 じゃあ、あそこはモノレールちょっと下がってるんですか?
八馬 いや、そのままいってます。
佐藤 下げると地面に接触しちゃうんで、それはないと。乗ってるとあんまり気がつかないですけどね。
※現場写真が、第4回記事に登場します。
佐藤 次、飛ばしが3つあります。
八馬 飛ばしというのは、大きな橋梁って意味ですね。アーチ橋と斜張橋と。
佐藤 これがアルターマルクト、有名なところですね。斜張になってます。
八馬 映画「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」のロケ地だったところです。
佐藤 この大交差点を斜めに切ってると。
【八馬撮影】
佐藤 もうひとつのクルーゼのところはちょっと短いんですけど...。
八馬 ごっついトラスになってる。
佐藤 補強なんですかね。拡幅したときに(橋脚を)抜いたかなんかで後付けでつけた感じ。
宮田 ここ駅ですか?
八馬 駅です。これもなかなかエグい駅で。緑と赤のカラーリングで、なんでこんなカラーリングができるんだというようなぶっ飛んだ感じがする駅でした。
【尾渡撮影】
尾渡 浮いてる感じはしませんよね。
八馬 ドイツ人てちょっとそういう垢抜けないデザインを好む傾向がある(笑)。
佐藤 決して洗練されてないですよね。
八馬 パリとかイタリアとかとは全然違う。偉大なる田舎みたいな感じがして(笑)
佐藤 3か所目がここです。
八馬 この橋は、どうやら60年代に架けられた先代からこの形らしいですね。架け替えはしてるんですけど、ドイツで構造設計やってる友人がいて、これいつできたんだろうってツイッターでつぶやいたら、前も同じ形でしたって調べて教えてくれましたね。ちょっとすごい構造ですよね、無理してる。ずっと前はもっと短かったと思うんですけど、下の交差点がそんなでかくなかったはずなんで。
佐藤 道がだんだんでかくなった段階で股が開いてきたって感じなんでしょうね。ここがオーリングスミューレというところです。
佐藤 はい。続いては、新型車両の話なんですけども、だいぶ現代化されてきてるのはわかるんですけれども、でもここはいっしょですよね。両フランジでレールの上に乗っかってるだけですから......。
【尾渡撮影】
八馬 基本的には振動も音も(そのまま拾う)(笑)......。
尾渡 新しいものと古いものは多少違いますけどね、ただ車輪の部分はいっしょなんですよね。
佐藤 サフェージュ式だと安心感があるんですけど、ランゲン式はこれ見ると、やばいなと、よくこんなんで走るなと。大地震がきたら絶対に脱線しますよね。
八馬 大地震来ないからできるわけです。
尾渡 片手でぶらさがってる感覚ですね。サフェージュ式は両手でちゃんとぶらさがってるんですが、こっちは片手って感じに見えて...。
八馬 ほんとに簡単に浮いちゃいますよね。だから鉄板を置き忘れていただけで脱輪した事故(1999年に脱線墜落事故が起きている)っていうのはやっぱりこの形だったから......こんな危なっかしいことやってんだって。
尾渡 ただ鉄道は基本的にみんなこれでしょう。
八馬 ま、そうなんですけど、両手で(レール2本で)こうならわかるんですが、1本ですからね。
佐藤 ここで、拾ってきた映像を流してみたいと思います。
※拾ってきた映像は流せないため、以下、似た写真で代用しています。
【尾渡撮影】
八馬 これすごいテンションあがるんだよなあ。これいいデザインだなあ。近代的で。CADで描いた感すごいですよね(笑)。
西村 CADで描いた感(笑)。
八馬 デジタルのデザインですよ。後ろ側なんてスマホですよね。
【尾渡撮影】
西村 ああ(笑)
角田 後ろはガラス張りなんですね。
八馬 そうです。後ろ、とくに新型車両の一番最後は、完全にガラス張りです。これは相当素敵です。
西村 眺めがめちゃめちゃいいんです。
八馬 子どもとの争いになるんですよね(笑)。
西村 子どもの後ろから撮ってました。
尾渡 一応簡易な運転装置だけはつけてるみたいですけど。
八馬 あ、そうなんですか。
尾渡 何かあったときのための。なんですけど、運転席はまったく必要ない。横側にちっちゃなレバーと...。
八馬 それ気がつかなかったな。風景に興奮しすぎて。
宮田 あの真ん中の連結はどうなってんですか。
【尾渡撮影】
尾渡 あそこも普通に乗れます。向かいで3人ずつ座れるようになってて。あそこだけ短いのは終点でぐるっと急カーブを回らなきゃいけないので。
宮田 ああ、そのためにあるわけですね。なるほど。
西村 関節を増やしてる。
宮田 そうか、だから後ろは運転席も必要ないわけか。最後ぐるっと回るから、こっちが前になることはない。
八馬 もともと(軌道全体が)ループになってるんですね。
尾渡 そうです。ループになってます。
宮田 いろんな色の車両がありますね。
【尾渡撮影】
尾渡 そうです。新型は水色なんですけど。それがヴッパータールらしいというか。
角田 小田急のロマンスカー・MSEっぽいですね。
西村 古いやつは近鉄の特急みたいですね(笑)。
尾渡 運転手見ればわかるんですが、人の大きさがあのぐらいですから、全部小さいんです。
【尾渡撮影】
尾渡 中もスペースこれだけですから。
【尾渡撮影】
宮田 狭い!
尾渡 そうですよ。二人掛けのこの席に対してあとひとりふたり立ったら精一杯です。
宮田 これ全部左に席があって、傾かないんですか。
八馬 そこが不思議ですよね。どういうバランスなのかという。まあ、どっちに振れててもべつに構わないってことなんでしょうね。支点が上にあるから。いや、わかんないですけど。
佐藤 ちなみに公式PVもあって、人身事故のことも包み隠さず出してて素晴らしいです。
【公式PV】
https://www.schwebebahn.de/en/media-library/videos/
概要は「Wuppertal and the Schwebebahn-this is true love.」に。
そのほか前面展望動画などもあり。
(つづきます。このあと話はますますマニアックに!)