夢中になってスマホで写真を撮っていたら、近くを通りがかった赤ちゃん連れのママさんに「何を撮ってるんですか?」と声をかけられた。境界杭のことを話すと、近所に住んでいるけど知らなかった、と言う。
自分もこの通りは何度か通っているが、境界杭について気に留めたことはなかった。でも、事前知識をもって見てみると、それほど影が薄い、というわけでもない。
その証拠に、次の写真を見てほしい。こうやってみると、なかなかの存在感ではないだろうか。
どんっ。
大きな道路(県道304号腰越大船線)と交差する位置にあるからだろうか。胸を張って堂々と立っているようにみえる。知らないで見たら、鎌倉市なのに「横須賀市」だなんてどういうことだろう、と思うに違いない。
さて、県道を横断して、さらに進もう。道はまだまだ続いている。
「水道部」ななめバージョン。
この先には車止めがあり、そこにぶらさがっていた投棄禁止の看板には「この土地は、横須賀市上下水道局の管理用地です」とハッキリ宣言されていた。
投棄禁止 by 横須賀市。
そして横にはこんなものも。
「変質者に注意」。
すぐそばにあった境界杭もこんな感じで、この一角だけなんだか荒廃したイメージ。
もう横須賀でも鎌倉でもどうでもいいのよ、みたいな。
ここを過ぎると、境界杭がたくさん見られるようになってきた。
「水道局」。
鎌倉市の市章も。
アイビーとゴールドクレストに見えなくもない雑草に囲まれてちょっとガーデン風。なんとなく前に石を置いてみたりして。
上からみると「境界 横須賀市上下水道局」と書かれたプレートが。
またもや投棄禁止に関する看板。録画中。
さて、道路はここまで。ここからは舗装されていない道になり、突き当たりには柏尾川。その先に続くのは、水管橋だ。
水管橋。これを通って、向こう岸からここまで水がきていたのか。
看板には「横須賀市水道局」の文字。
境界杭探しにばかり夢中になっていたけど、ここにきてようやく「水道みちを歩いてきたんだ」ということを思い出した。
向こう岸のさらに先をたどっていくとすると、藤沢市を通過して綾瀬市、海老名市、厚木市、そして水源のある愛川町へつながっているはずだ。逆に、今歩いてきた道を引き返すと、その先は、長谷、材木座を通って逗子市を通過し、最終的には横須賀市の逸見浄水場へ。
横須賀軍港水道(半原系統)は「自然流下方式」(標高差約70m)、つまり、ポンプなどを使わずに、地盤の高低差だけで水を送るしくみだったらしい。約53㎞もの距離があるのにそんなことが可能なのか...素人には全く想像が及ばない。
今回歩いてきた道と同様、鎌倉市の材木座から大町にかけても、昔ながらの境界杭が残されている区間があるようだ。来た道を戻って、横須賀軍港水道の足跡を探しながら終点の横須賀まで歩いてみる、というのもいいかもしれない。