湘南モノレールの面白さは、なんといっても地上から少し浮いて走るところ。おかげで地形の凹凸を斜めギリギリ上から俯瞰することができるのです。他にも面白ポイントはたくさんありますが、どこに行っても地形や高低差が気になる自分にとっては、これは他にはない醍醐味。避けきれなかった地形差を解消するためのトンネルが2つあるところもたまりません。
「地形好きな人なら、きっと気に入ると思いますよ」とライターの宮田珠己さんからのお薦めを受け、4月のある日、一日乗車券を購入して先頭車両の一番前に乗り往復すること数回。いやもうすっかり気に入りました。そして乗れば乗るほどに、自分がどこを上っているのか、どこを下っているのか、どう曲がっているのか、地形の理由を知りたくなってきます。そこで興奮冷めやらぬうちに、地図をつくって確認してみることにしました。
標高ごとに彩色して陰影を付けた地図に、全駅の軌道をプロット。カシミール3Dkashmir3d.comにより制作
断面図は湘南モノレールHP記載のデータを参照
http://www.shonan-monorail.co.jp/area/
平面図と断面図を照らし合わせてみると、地形の凹凸のどこを通っているのか、また湘南深沢--西鎌倉駅間、目白山下--湘南江の島駅間のトンネルの理由も見えてきます。ただ2つの図を見比べるほどに、様々な角度から眺めたい欲求がむくむくと湧いてくる。そこで思い立ったのが、お菓子での模型制作でした。
え、なぜ唐突に「お菓子で!?」と思いますよね。実は、私はこれまで地形を模したお菓子を何度かつくったことがあるのですが、その動機が今回と同じ、立体模型をつくろうとした際に製菓材料を使ったのがきっかけだったのです。それは7年ほど前のこと、ほんのちょっとした思いつきだったのですが、一度つくってみたところ想像をはるかに超えたエキサイティングさにすっかりやみつきに。なんといっても、自分が今いる場所を"巨人になった感覚"で食べてしまう、という体験そのものが面白くて。なんだか倒錯している気もしますが......、現場で実食をしてはその醍醐味を噛みしめていたのでした。
これまでにつくった地形菓子。左が新宿区中央公園の地層を再現した「地層ムース」。右が新宿区戸山公園の標高を模った「等高線ケーキ」。どちらも現地で実食
さて今回はどんな地形菓子をつくろうか。わくわくしながら次回に続きます。