第2回 初めての乗車と珍しい乗り換え体験
鉄道の連結部分につきものの蛇腹(じゃばら)。特に湘南モノレールは行き来ができないほどの動きに耐えて伸び縮みしています。
その「蛇腹」つながりで、アコーディオンの弾き語りをするミュージシャン古田朝映さん(以降アサエさん)に乗ってもらおうと大船駅で待ち合わせしました。
「鎌倉江の島フリーパス」を購入後、デッキに出て駅に入って来る車両を見てもらってから、いよいよ改札へ。インスピレーションから、すてきな湘南モノレールの歌ができたらいいのですが。
4月からPASMOやSuicaなど交通系ICカードが使えるようになった改札を抜けて入って来たアサエさん。半世紀に迫る湘南モノレールの歴史の中でも、アコーディオンを抱えて改札を通った人はたぶん初めてでしょう(この日は構内と車内では音を出さないことを条件に撮影させてもらっています)。
アコーディオンをいったんケースにしまってもらっていると車両が到着しました。
やって来たのは、アサエさんの楽しい歌のイメージにもぴったりの「OJICOトレイン」。「いきなりテンションが上がるワ」と言いながら乗り込みます。
「せっかくだから」と先頭車両に陣取ったものの、「走り出したら思っていたより一気にスピードが出てびっくり!」。
思わず両手で手すりにしがみつくアサエさん。足もいつのまにか踏ん張っています。
「やっぱり普通の電車とは違うワ」
車窓から大船観音が見えました。実家が横須賀なのでJRに乗って大船を通過するときは幼いころから「のんのん」と手を合わせていたそうです。でも、大船駅で降りることがなかったので、これまで湘南モノレールとも縁がなかったのですね。
「この車両は点検のため湘南深沢駅で車両の交換をいたします。たいへん申し訳ございませんが・・・」とのアナウンス。
これは珍しいという話をすると「初めてなのにラッキーじゃないですか」と大喜びです。
乗客は全員下車して駅のホームで待っていると、反対側の上り線にピンクラインの車両が入って来ました。
さあ、乗り込みましょう。
ガタン・・・。いつもは大船方面へ向かう上り線に停まった車両が、反対(下り)の湘南江の島方面へと動き出しました。スイッチバックしたのです。なかなか体験できない乗り換えにアサエさん、大興奮。
乗り換えた先頭車両。運転席のすぐ後ろに張り付くのは外国人観光客。そして立っているビジネスマンのみなさんは一体どこへ行くのでしょう。おっと、アサエさんはあいかわらず手すりにしがみついたままですね。
さっきまで街なかの道路の上を走っていた車両はいつのまにか緑の中を疾走し、トンネルを抜けてまた住宅地へ。
「やっぱり速いワ。鉄道でいえば京急クラスね」
たとえに京浜急行が出てくるなんて「鉄子ちゃん」なのかと思いきや、今の住まいの最寄り駅が京急の「上大岡駅」だそうです。
「いつもあのスピードと揺れに体を持っていかれそうな気がするけど、このGの掛かり方は比ではないですね。なかなかの迫力だワ」
途中の乗り換えを含め、初めての湘南モノレールをすっかり楽しんでいるアサエさん。もっともっと面白いコトやモノを見つけてくれそうです。