湘南江の島駅から徒歩7分のところに、日本でたった一つの灯台グッズ専門店「ライトハウスキーパー」がある。
店主の山口さんは、世界200基の灯台を巡った灯台マニアだ。
今回は、孤独な仕事人、灯台守の存在についてうかがった。
灯台守の悲劇
▲灯台の横の家に灯台守が住んでいた
―灯台の横にある家はなんでしょうか?
山口:灯台を管理する人、灯台守(とうだいもり)の家ですね。
今はもう無人で自動化されてますが、日本でも2006年まで住みこみで仕事してたんですよ。朝日が登ればライトを消して、夕日が沈めばライトをつける日々です。
―そんな最近まで人力だったんですか!
山口:離れ小島だったり岬の突端だったり、寂しいところにあるでしょう。
アメリカの灯台守たちは、寂しさを紛らわすためにワラでカゴや椅子を作ってたそうです。
戦時中は砲撃の標的にもなりますから、悲劇も尽きません。
アルカトラズって知ってます?アメリカにあった離島の監獄なんですが、1940年代に暴動が起きまして。出動した軍隊の銃撃で灯台守も犠牲になりました。
―大変な仕事ですね......
山口:映画「喜びも悲しみも幾歳月」など灯台守がテーマの作品はいくつもあります。
明治時代なんてもっと過酷。分銅の重りで照明をぐるぐる回してたので、1日に何度もジャッキで巻きあげなきゃいけない。かなりの重作業だったようですね。
―山口さんにとって灯台と灯台守はセットなんですね。
山口:そうですね、灯台守の生き方に想いを馳せてしまいます。アメリカで灯台守体験会に参加したこともありまして、灯台守の家に泊まって、その仕事を1日味わいました。
当時のベッドや装飾品を眺めて、その生活を妄想するのが好きですねえ。
―楽しそう!1日だけならやってみたい。
山口:アメリカでは灯台守の家が民間へ払い下げられていて、お金持ちが別荘にしてるケースもあるんです。ノックしてお願いすれば、十中八九内部を見せてくれますね。
―日本にも残ってるんでしょうか?
山口:日本では安全上かなり取り壊されてます。
ただ、御前崎灯台などそのまま残ってるところもあります。
仲間との灯台ツアーでは海上保安庁にあらかじめ連絡して、特別に中を見せてもらったこともあります。
→続く
「Lighthouse Keeper(ライトハウスキーパー)」
営業時間:11時~18時
定休日:不定休(雨の平日は休みがち)
住所:神奈川県藤沢市片瀬海岸1-12-23
アクセス:湘南江の島駅から徒歩7分