第3回目を迎える今回の企画は、インターネット連載ならではの出来事により実現した。どういうことかというと――。
じつは、これまでにもいろいろとお話を聞かせていただいている大船家具の関さんから、気になる情報を小耳に挟んでいた。それは「大船ではメロンが作られていたらしい」という話。関さん自身は20代の頃に駅の近くの理容館(田園理容室)のおじいさんから聞いたという。しかし、情報は断片的なもので、資料にも出てこず、ご存知の方にも行き合わず、謎のままに留まっていた。
そんななか、「大佛旅館」を取り上げた第1回の記事に対し、2018年2月にネットで反応をいただいた。
「〔大佛旅館の〕あの界隈がかつて鬱蒼とした森だったのは、もとは農園や牧場だったからです。戦前、農園で生産されたメロンが品評会で一等を取り、昭和天皇に献上されたと聞きました」(カッコ内の補足・筆者)
というではないか!
謎だったメロンについて意外なところから解明の糸口が見つかったのである。インターネットで記事を公開することの醍醐味を味わった。
さらに、しばらくしてから、その名も「オサラギ商事」という大船にある会社の前社長・林川さん(73)さんより「大佛旅館の記事が出ていると聞いたのですが」と、大船ヨイマチ新聞に直接ご連絡をいただいた。大佛旅館も、メロンを作っていた農園も、こちらの先代が営んでおられたのだという。
つまり、かつて大佛旅館のあった大船駅笠間口前には、簡単に整理すると以下のような歴史があることが分かった。
林川さんご自身は、oh!plaza(オー!プラッザ)の経営にたずさわってこられた方で、現在はこの地域の再開発の理事長を務めておられる。
下に、グーグルマップで場所を示した。紫の線で囲んだあたりが、昨年(2017年)までオー!プラッザがあったところ(現在、工事中)。この地図を覚えておいて欲しい。
【地図】グーグルマップより。印をつけたのは筆者。
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林川さんは、メロン農園の写真をはじめ、ほかにもさまざまな資料をお持ちだという。私は期待に胸を躍らせて、林川さんにお話をうかがいにオサラギ商事さんにお邪魔した。