湘南モノレールから歩いていける森めぐり、次なる目的地は片瀬山公園。目白山下駅のすぐ脇に入口がある、モノレール沿線でも駅から一番近い公園だ。
入口の案内板によれば、片瀬山はもともと「竜口山」と呼ばれていたらしい。
案内板
昔々このあたりを荒らしていた竜が改心し、村を守るために山になったという言い伝えがあるとのこと。
また案内板によると、ここには昭和初期に「竜口園」という遊園地があり、6階建ての展望台や動物園もあったそうだ。
ネットで「竜口園」のポストカードを見つけ入手。展望台らしき塔が写っている!
私の父は昭和30年代に腰越に住んでおり、このあたりにもよく来ていたそうだが、当時は遊園地や動物園の跡形もなかったとのこと。今のような住宅街でもなく、原っぱが続いており、子どもたちの格好の遊び場だったそうだ。
いろいろな歴史のある片瀬山公園だが、見どころはなんといっても、湘南モノレールがこの山の中のトンネルを通っていることだ。普段は下から見上げるばかりのモノレールだが、ここ片瀬山公園では、モノレールの上を堂々と歩けるのだ。さながらモノレールの線路は竜の背骨といったところだろうか。駅を出て公園の入口へ向かう途中、モノレールがトンネルに吸い込まれていく様子も見られて、迫力満点だ。
トンネルにつながるモノレールの線路
公園の入口付近の広場では、親子連れが集まって何かレクリエーションをやっていた。子どもたちの横をすみませんねと横切り、園内を奥に進んでゆく。散策路は広々しており、外から見ると鬱蒼とした森なのかなと思ったが、公園内は意外にもゆったりとした雰囲気だ。
そしてここでもやはり目がいってしまうのは、樹。
戦隊モノの敵役で登場しそうな樹
階段にちょっかい出す根っこ
根元に潜むタコっぽい何か
樹の中でもとくに目がいってしまう部位は、根っこだ。アメーバのような変幻自在な姿形。フリーダムなこんがらがり具合。ふいに土の中からひょいっと顔を出すいたずらっぽさ。たまらん。
雲海みたいな根っこ
こういう地面にちょろっと出てしまった根っこ、かわいい。
「樹」という概念をいったん忘れて、しげしげとこれらの物体を眺めてみると、ふと別の星に降り立ち新種の生命体に遭遇してしまったような感じを味わえ楽しい。
足元には竜が控えており、かつては動物園があった片瀬山公園。思わずウネウネ動き出しそうな、個性あふれる樹の宝庫だった。
遠くの方から、なにがしかのレクリエーションに勤しむ親子のほのぼのとした笑い声が聞こえ、我に帰る。
ひとけのない園内。樹を舐め回すように目で追いながらひとり興奮するわたしは、不審者極まりないではないか。
親子の楽しい思い出に傷をつけるのも忍びないので、ひっそりと公園をあとにした。
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片瀬山公園
所在地:藤沢市片瀬3丁目2800
アクセス:湘南モノレール目白山下駅から徒歩1分
開園時間:常時開放
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