第2回 動き出した瞬間から夢中 運転席の後ろでスマホ撮影
鎌倉駅西口の路地裏にあるカフェ「クレインポート鎌倉」を切り盛りするご夫婦を、江の島の奥でやはりご夫婦でやっているカフェに連れて行こうと思い立ち、まずは大船駅で待ち合わせ。鎌倉駅から江ノ電で江ノ島駅までなら24分のところ、わざわざ大船駅を経由し湘南モノレールに乗って30分前後かけて湘南江の島駅を目指します。ちょっぴり遠回りですが、きっと楽しんでもらえるはず。
時間が早かったこともあり、いっしょに腰掛ける座席が見当たらないので立って行くことに。どうせならと運転席のすぐ後ろに進みます。
発車するなり力強い走行感、左右への揺れに思わず力が入ります。
「思っていたよりも速いですね」と奥さん。足を踏ん張りながら、二人とも取り出したスマホでシャッターを切ります。奥さんは写真モード、旦那さんは動画モードのようですよ。
「そうか、下の道路が坂道を上るとモノレールも上る、道路が下ればモノレールも下っていくんだ」
地形のアップダウンに合わせて軌道もアップダウンする。実はあたりまえのことなのですが、モノレールに乗るのが初めての人にとってはそれも不思議な感覚のようです。
「あれ、さっきまでは道路の上を走っていて地面との距離もあったのに、道路を外れたら今度は地面が近づいてきた。これはこれで迫力ありますね」と旦那さん。「スピードも増している?」・・・と言ったとたんにトンネルに突入です。
「おー、おー!」
暗闇と轟音に圧倒されながらも手元のスマホで撮影続行。二人ともそれぞれのスマホの画面を食い入るように見つめます。子どものように楽しむその横顔を見ているだけで、とてもうれしくなりますね。
道路の上や住宅地の中、アップダウンや蛇行を繰り返しながら疾走するモノレール。二人はほぼスマホの画面を通して迫って来る景色を眺めています。こんな楽しみ方もあるんだと、ちょっと感心。
「このモノレールはできてからどのくらいですか」と急に奥さんに尋ねられ「う~ん」とうなっていると、なんとたまたま後ろに湘南モノレールの制服姿のお二人が立っていました。
「昭和44年からなのでもうすぐ50年ですかね」とのお答え。ありがとうございます。
もう半世紀近くも走っているんですね。そのころスマホがあったら、いったいどんな風景が切り取られていたのでしょう。
そうこうしているうちに車両は終点の湘南江の島駅に到着。
「あれ、もう着いちゃったんですか?」
鎌倉駅からはちょっと遠回りしてきたはずですが、大船ー湘南江の島間はたったの14分。あっという間でした。