私は乗りものが好きだ(飛行機を除く)。
旅行をしていて楽しいのは、実は行き先ではなく、むしろ移動中が一番面白いんじゃないかと思うほどである(飛行機以外)。
とくにレールを走る乗りものが大好きである(船も好きだが、飛行機おそるべし)。
って、飛行機のことはどうでもいいのだが、今回は同じようにレールを走る乗りもの好きなみんなに、ナイスな提案をしようと思う。
私はレールを走る乗りものなら、ジェットコースターでも新幹線でもだいたい好きだが、どちらかというと、ふつうの電車よりも変わった乗りものが好きである。
どこであれ変わった乗りものがあれば乗ってみずにはいられない。そしてこのたび、ものすごい事実を発見した。
1日のうちに変わった乗りものに5つも乗れる場所があるのだ。遊園地の乗りものではない。本物の交通機関だ。
全国的にもそんな場所はそうそうないと思う。
変わった乗りものにまとめて乗れるルートとして、思いつくのは、たとえば長野県と富山県を結ぶ立山黒部アルペンルートがある。長野県側からトロリーバスに乗り、途中でケーブルカーに乗りかえ、さらにロープウェイ、そしてまたトロリーバス、いったん普通のバスに乗って、最後はまたケーブルカーで富山県に抜ける豪勢なコースは、乗りもの好きにはたまらない。面倒くさい乗り換えも、次はどんな乗りものかな、と好奇心が刺激されることを思えば、苦にならない。
けれど立山黒部はちょっと遠い。シーズンはものすごく混雑しているというし、乗りに行きたい気持ちはあるものの、実際は難しいかなあ。
と思っていたら、なんと、それに匹敵する、否、それ以上のコースが首都圏にもあったのである。
しかも今回発見したコースは、1日で何種類乗れるかという点で、立山黒部アルペンルートを上回っている。
おおお、変な乗りもの好きの血がうずくではないか。
さっそくレポートしたい。
起点は鎌倉である。
ええっ、そんなメジャーな場所に?
そうなのである。それをこれから詳しく説明しよう。
鎌倉にはJRと江ノ電の駅がある。変わった乗りもの第1弾は、この江ノ電だ。
出発地点は江ノ電鎌倉駅。駅舎がかわいい
江ノ電は有名だから、みんなわかっていると思うが、何が変わっているかというと建物スレスレに走るその軌道である。ときに路面電車になったりしながら、鎌倉の海沿いを走っていく。
この江ノ電に乗って、鎌倉駅から日曜日の朝10時に出発するとしよう。果たして1日で何種類乗れるだろうか。
日曜の江ノ電はなかなか混雑しているけれど、たとえ席に座れなくたって楽しいから心配いらない。というか席に座って車内を見ているより大きな窓に向かって外を見ていたほうが絶対に面白い。
路面電車は日本全国にあって、なかには狭いところを走るものもあるけれど、江ノ電のそれはとりわけ狭く感じる。一般住宅の壁や窓がすぐ目の前、すれすれに通り過ぎていく。沿線には線路を歩かなければ玄関にたどりつけない家もあったりして、うっかり家を飛び出すと危険である。
門の前は即座に線路
そういう意味で、江ノ電はもうほとんど路地を走っていると言ってもいい。ここはふつう電車走らないでしょ、車でもできれば軽自動車で走りたいでしょ、というような狭い隙間にぐいぐい入り込んでいく。
木の枝が当たってガサガサいうぐらい狭い
そしてそんなスレスレな建物の間から、ふっと海が見えたりするから、これはもう、ごっつぁんです、とでも言うしかないのだ。
海の江ノ電
わくわくする狭さ
電車が住宅に埋まっている
鎌倉駅から江ノ島駅までは24分。
レールは藤沢まで続いているが、江ノ電に乗るのはここまで。日本有数のスレスレ感と海の眺めを楽しんでいたら、あっという間に到着だ。
江ノ島駅の横に踏み切りがあって、ここでもまた驚いた。
電車が来るかと思ったら、なんと線路を自転車が走ってきたのだ。
どういうこと?
と思ったら、そこはちょうど路地が交差していて、道路と線路が重なっているのであった。
道路か線路かわからなくなっている
線路を自転車が走ってくるとは、さすが江ノ電、何でもありだ。この超路地裏感が江ノ電最大の魅力である。
というわけで始まった面白レール乗継ぎ旅。
まだまだすごい乗りものが登場します。
怒涛の面白レール三昧、はじまりはじまり~。