[小川コータ&とまそん] 鎌倉の街や人などを歌う"地域密着"型。FMヨコハマにレギュラーコーナー出演中。5枚のアルバムをリリース。http://www.kotatoma.net
農村の面影を残す笛田。
湘南モノレール「湘南深沢駅」から徒歩5分の場所に、"隠れ里"のような風景が広がる。
笛田には3軒の茅葺きの家があって、
その中でもこちらのお宅は状態が良くて、立派だ。
「こんにちは〜」と訪ねてみたら、お餅つきの日だった。
ちゃっかりお餅つきに参加させてもらった! なんてラッキーなんだ。
この家は150年以上建ってるそうで、ご主人で13代目!
関東震災(大正13年)でも倒れなかったんだそう。
4人家族、この家に、昔とほとんど変わらない暮らし方で暮らしている。
その昔、大正の頃は近所に茅があって、20~30軒ほどの茅葺きの家があって、みんなで順番に茅の吹き替えをしていたんだって。
孫たちも餅をつく!
お孫さんの野球チームの友達も集まってワイワイと賑やか!
こんな場所が近所にあるなんて恵まれてるなぁ。
子どもたちはこの風景が当たり前ではないってことに、もう少し大きくなってから気づくのだろう。
つきあがった餅。大根おろしの餅が今日の一番人気。
お持ち帰り用。平らにのして冷まします。
トッピング係のお母さんたち。
ガスコンロもありますが・・・
かまども現役。もち米を炊いています。今日は1俵(60キロ)炊くとか!
もち米もご主人の田んぼでとれたもの。
こちらの大かまどは最近は使っていないそうだが、30人前ぐらいのご飯が炊けるんじゃないだろうか?
土間を通り抜けて勝手口を出ると、裏庭。赤い実がなってフォトジェニック。
ここですごいものを発見!
裏にやぐらがあって、ここから水が湧いている。手前の枡に溜まる仕組みのよう。
奥に潜入してみると・・・
この洞窟から水が来ていた。
洞窟はかなり深いそうで、向こうは曲がっていて見えない。
奥の方に神様を祀ってあるそうですが狭くて真っ暗なので入るのは怖すぎて無理!
以前はコウモリもいたそう。手前の瓶はお酒だそうです。
こちらが、組み上げる必要もなく、枯渇することもない、恵みの泉。
洞窟の奥からの水がここに溜まります。
雨が降ったり降らなかったりしても水量がほとんど変わらないそう。
そしてさらにこちらがすごい!
薪のお風呂。初めて見ました。
お風呂は今も現役で、薪で焚いている!
昔は家族が10人いたから、お湯が減ったらバケツで水を足して、薪を足して、大変だったそう。
造園業なので薪も手に入るし、自給自足だよ、と奥さん。
クーラーはないし、電化製品も少なめ。かなり省エネ生活ですね。
縁側がレトロ。障子が暖簾みたいになっているのは猫ちゃんが出入りするため。
昔のままの作りで、縁側に外ガラスがない。雨が降れば雨戸を閉める。
窓ガラスのない家って、今、どれだけあるんだろう。
筋金入りの藁葺の家って感じだ。正直、寒そうではある。
壁はもちろん、わらの入った土壁。
屋根の手入れは刺し茅(表面の茅だけ変える)をしたので20年ぐらいは大丈夫。
丸吹き替え(全部の茅を変える)で35年持つそうです。
茅は、最近ではこの辺にはなくなってしまって、富士山の麓の方から調達しているらしい。
鎌倉にも茅葺きをできる職人がいるが、お金がかかるし、維持は大変なんだとか。
玄関を入って、お餅つきをしている場所はまさに土間。
かかっている鍬や鋤は現役。
畑や稲作もしていて、農協には入れてないけど、近所で無人直売もしている。
今年は、お米は10俵(600kgぐらい)の収穫。
米も、野菜も、水も、薪もあって、ほんとに自給自足。
「もしも災害があったら、ここに来るわ」、と近所の人は言っているそうです。
奥の壁に八幡宮の御札があって神棚になっている。ちなみに全部の部屋に神棚があった。
天井の太い梁。これが関東大震災にも耐えたんだ。
碍子を伝って巡らされた電線。
屋根がとても高いので、年に一度、蜘蛛の巣などを払うために長い竹を持ってきて、煤掃きをするんだって。
こちらは畳の部屋。暖房もあるし、ここで寝食をする。
間取りは2DKD(2部屋+ダイニングキッチン+土間)という感じ。
土間の天井に滑車のようなものが。
昔はさっきの大かまどで味噌とか麹を炊いていたので、
この滑車に杵を吊るして、下にモーターの機械をおいて、
餅をついたり、潰していたんだそうです。
広い庭には植物も沢山あって、丁寧に暮らしている感じが伝わってきた。
茅葺屋根の母屋の隣は、離れ。渡り廊下でつながっています。
こちらが渡り廊下。土足です
渡り廊下の先のドアを開けると。。。
裏庭でした。
この左側が以前は汲み取り式のトイレで、柄杓で樽に汲んで、畑の肥料にしていた。
寒くて維持も大変かもしれないけど、人が集まる、災害になったら絶対頼りになる、自給自足もできる家。こんな豊かさを大事にしていきたい。
両腕に心地いい疲労感を感じながらそんなことを思った一日だった。
そうそう、おみやげに大きな切り餅をいただいちゃいました。
ご家族の皆さん、ご近所の皆さん、ありがとうございました!