さて、ここまで数々の湘南モノレール「まっすぐ路線図」を見てきたけれども、ここまで見ると気になるのが「昔はどんな路線図だったんだろう」である。それこそ湘南モノレールの本社にいろいろ眠っているのでは無いか。
......というわけで本社にうかがってみれば、なんとまぁ出るわ出るわ路線図の山!
(たらふくあります)
広報課の池田里麻子さん曰く、昔の湘南モノレールのパンフレットのデザインは、基本的にデザイン会社にお任せしていたらしいとのこと。そのたびに路線図も姿を変えているのだそうだ。
路線図は「イラスト」から「地図」へ
まず目を引くのは、1970年の開業当時の路線図。開業にあたって作られたパンフレットから。
開業当時、湘南モノレールは大船駅から西鎌倉駅までの営業だった。全線開通するのはこの1年後のこと。
なので、赤い丸(営業中)と緑の丸(計画中)で駅が色分けされている。車庫からひょっこり顔を出すモノレールがかわいい。社屋に旗が掲げられているのも、開業の勢いを感じる。
開業当時の写真にも路線図が映り込んでいた。西鎌倉までは駅名と運賃が書いてあって、その他は空欄。手描きの駅名が味わい深い。西鎌倉まで70円だったんですね。
その後のパンフレットも、観光地が随所にイラスト化されており、「楽しさ」を演出された路線図になっている。一見2Dで描かれているようで、2つのトンネルが3Dになってるのが騙し絵っぽい。
こちらのイラスト路線図は、斜め上から俯瞰することで湘南モノレールの「高さ」も表現。それにしても江の島の崖の書き込みの細かさよ。主役がほぼ江の島である。
年代が新しくなるにつれ、路線図が地図をベースにしたものに変わっていく。
開業当時は珍しかったモノレールという存在が、徐々に世間に浸透していくにつれ、パンフレットの役割も「イメージの演出」から「散策のための地図」に変わっていったということだろう。
倉庫に眠る路線図を掘り出そう
湘南モノレールに眠っている路線図はこれだけではないらしい。なんと倉庫には駅で使われた「現物」が残っているとのこと。さっそく倉庫までお邪魔した。
(「THE 倉庫」といったたたずまい)
駅で使われた古いアイテムは、即売会などで人手に渡ることも多いそう。とはいえ、掘り出してみるといくつか興味深いものがあった。
富士見町駅で使われていた「駅名案内」。運賃が書いていないので、恐らくホーム上にあったものではないか。まごうことなき「まっすぐ路線図」である。
そしてこちらが今回最大の大物......
「湘南江の島からJR東日本線運賃表」!長い!
湘南江の島駅からJRの駅まで乗り換えた場合に運賃がいくらかかるのか、これを見れば一目瞭然というもの。北は大宮、西は高尾までをカバーしており、この狭い範囲に路線図を収めるために数々の時空がゆがめられています。
常磐線と京葉線に至っては、右端で収まりきらずに折り返してきています。千葉が亀戸に迫る勢いです。
JR鶴見線の尻手駅から八丁畷駅にいたっては、どうにも線が引けなくてワープしているという見どころも。最後の手段に出た、という覚悟を感じます。
湘南モノレールは、海を感じさせるマリンブルーで描かれていました。
湘南モノレールの路線図は「まっすぐ」である。
でもその「まっすぐ」には色んな形と意味がある。湘南モノレールに乗ったら、駅で、ホームで、はたまたパンフレットやホームページで、路線図に注目してみてくださいね。