路線図を見ているとき、「高低差」を意識することはほぼ無いのではないだろうか。例えばこちら。東葉高速鉄道の路線図。
(東葉高速鉄道 東葉勝田台駅で撮影)
東葉高速鉄道と乗り入れている東西線を目立たせるために、真一文字にねじ込んだ路線図だ。
これを見て「東西線は地下を走ってるんだから、他の路線より上に重ねて描いているのはおかしい」と言う人は......いないと思うんですけどどうでしょう。
そこで湘南モノレールの登場である。まるでアトラクションのように上へ下へと駆け抜ける高低差は、路線図でも表現しがいがあるものなのだ。
路線図を「横から」見ると......
公式ホームページには2種類の「高低差路線図」がある。まずはこちら。
(公式ホームページより)
横から見ると、湘南モノレールが上を下への大騒ぎなのがよくわかる。
地面の高低差に沿って路線もアップダウンしているのに、片瀬山と目白山下のあいだのピークはなんであんなことになっているのだ。乗って確かめねば!という気持ちになる。なるでしょう。なりますよね。
ランドマークによる彩りにも注目したい。大船には観音、湘南江の島には江の島と水族館。中程にある赤い車はランドマークでもなんでもないのだが、「0m(地上)を示す」ために走っている。
他のランドマークが「イメージ図」であるのに対し、赤い車は「基準点」。役割が違う。
(公式ホームページより)
ホームページにもうひとつある「高低差路線図」でも、大船は観音、湘南江の島は江の島と水族館。鎌倉山や片瀬山公園など周辺のランドマークも書き込まれている。
空を飛ぶカモメや遠くに見える富士山など、奥行きを表現していることにも注目したい。もはや高低差路線図ではなく「3D路線図」である。
上の2つの路線図は湘南モノレールのみの路線図だが、他の路線と対比することで高さを表現している路線図もある。
(公式ホームページより)
横須賀線・東海道線・江ノ電で描かれたループを、湘南モノレールがまたいでいる。湘南モノレールだけ高低差を表現している路線図なのだ。
ここはあくまで「高いところを走っている」ことを知らせたいので、細かいアップダウンまで示さなくてもよい。「高い」という概念だけ伝えている。
路線図から「近いよ」と声がする
湘南モノレールには「高い」以外にも「近い」という概念を伝える路線図もある。
どれも東海道線、横須賀線、江ノ電で描かれた四角形を、湘南モノレールが斜めに突っ切っている。
地図で見るとこんなに綺麗な四角形ではなくて、オーストラリアみたいな形をしているのだけど、ここで伝えたいのは「斜めに行けば近い」こと。
「高低差を伝えたい」ときは細かいアップダウンを描き、「高い」「近い」のみ伝えたいときはもっとシンプルな形になる。伝えたいことによって、路線図は自由に姿を変える。
この変化が行き過ぎると、「時空のゆがみ」が発生する。なんだそれは。どんな時空がどうゆがむのか、それはまた次回に。