湘南モノレールの魅力がメディアで紹介されるたび、沿線住民の僕はそわそわしていた。その場所は駅から遠いよなぁ、そんなに駅近に何もないか?ないな。ないか?そわそわしていた。山も海もゆっくり走れば近いのに。のんびり走れば素晴らしいコースにあふれているのに!
ブラーンdeラーンの走りかた
① 歩くと遠いなら走れば近くなるよという勘違いが大事
② 競争じゃないから無理はしない。何もしないより健康的だ
③ 観光だけど走る、買いものだけど走る、くらいがちょうどいい
④ すぐ叶うゴール設定。海へ行こう、山に登ろう、魚を買おう
⑤ 誘惑を受け入れよう。食べたりお茶飲んだり。お金を忘れずにね
⑥ 達成感があれば乗り物で帰ってもOK。片道切符でいいじゃない
(1) 湘南深沢駅から由比ヶ浜まで山超えて
本日のコース。湘南深沢駅から駅近の泣塔、等覚寺、御霊神社など深沢駅近辺の小さな山の寺社を巡って、駒形神社へ。神社脇のトレイルを抜けて「Cafe In The Woods」で休憩。深沢中学校裏手の丘を経由して、常盤山緑地ハイキングコースへ。八雲神社から山を降り、火の見下から大仏切通しへ。長谷の大仏脇を通り、由比ヶ浜海岸まで5キロほどのルートだ。
駅から見える小山にある泣塔まで、まずはウォームアップ
湘南深沢駅前の鎌倉一の広大な空き地を左手に、早足で湘南町屋方面へ2~3分。「泣塔(1356年造)」を空き地の片隅にある小山に探し当てよう。取り壊そうものなら「たたりがあるぞ、泣いちゃうぞ」と言い伝えられている、鎌倉古戦場の供養塔だ。初めて来た時も走って探した。知らないと来ないよなぁ。ここからゆっくりと走り始めよう。
広場の奥、市営住宅並びの小山に、泣塔を見つけて走りだそう
有数の寺社密集エリア。名もなき小さな山を周遊しよう
深沢の山は、一周ぐるりと走ると10分くらいの可愛いサイズで、神社とお寺が密集した祈りの山だ。等覚寺、御霊神社、東光寺、大慶寺、名称不明のちいさなお社。この山の中腹にある、秘密の梅園も探してみよう。気になったら寄ってみるのが、ラーンの基本。
茅葺きの山門は、鎌倉にはいくつあるのだろうね
走っていると目につくのが「やぐら」。この辺りでは、洞穴のような大小のやぐらを、たくさん見つけることができる。やぐらは鎌倉時代以降に作られた横穴式の納骨や供養を目的としたものだそうな。防空壕のようなもの、天然の倉庫といったやぐら"ふう"のものも数知れず。時代も形もさまざまだ。「また見つけちゃった、ここにもありそう」、一番いいやぐらはどこだろう。
走るたびに、新しいやぐらを発見。あっちもこっちも堀られている
駒形神社のミニミニトレイルと小洒落カフェ
駒形神社の階段を数十段登ると、ここにも岩壁に掘られたいくつかの小さなオヤシロが。右奥に脇道が見える。こういう謎めいた小道は、間違いなく行ってみたほうがいい。ほら、少しいけば足元がふかふかの自然道。こういう道がごく身近にあることが嬉しくなって、上りなのに足取りが軽くなる。
小さなトレイルから偶然見つけた、深沢エリア最高峰の眺め
すぐに登り切ると、住宅の脇に出るのだけれど、そこは金土日のみ営業の「Cafe In The Woods」。名前の通りだね。この日初めて営業中に通ったので、寄ってみる。遅めのランチタイムでサラダをメインにいただきまーす。小洒落に美味しくごちそうさまでした。テラスから見下ろしの湘南モノレール。いやぁ、今日は走って来てよかったなぁと、もう幸福感獲得。まだ1キロくらいだけどね。
食後のウォーキング。深沢中学校の外側を行ってみよう。富士山の見える眺めのよい小道がある。ご近所高視聴率のアニメ、Just Because!最終回でヒロインが待ちぼうけをくらってしまった「中学裏手の丘」が、この丘だ。鎌倉有数の日当たりのいい畑。おばちゃんが畑仕事をしているいつもの風景を横目に、ふもとへ降りていこう。結構登って来ていたんだなぁと気づきながら降りて行く。
Just Because! な心もちで小道を下って行く
ハイキングコースの分岐で冒険心を試される
地元で愛されるケーキ屋さんPOMPON CAKESの脇に、気になる急な坂がある。今日は登って見るべきだ。ここが常盤山緑地ハイキングコースへの導入ルート。鎌倉には小さな自然道が毛細血管のようにある。土の上を走ると気持ちが上がって、ペースもちょっと上昇。数分で藪の中。突き当たりの看板が僕に問う。「左=ハイキングコース」、「右=八雲神社(道が悪いかも知れません)」と。いつもなら左なのだけど、今日は右のルートへ行ってみよう。
ヤブヤブしながら竹の密度がぐんぐん濃くなる。腰を屈める。所々で人の手は入っているようで、ちょっと安心。まだ行ける。足元を選びながら黙々と10分。なんとか八雲神社の裏に出ることができましたぁ。「なんとここに出たか!」とニヤリ。切り拓き、山を守る先人に感謝だ。
切り拓いた先人に感謝しながら小さな山の大冒険
写真奥、藪の中から常盤の八雲神社脇へ降りてきたのでした
火の見下バス停を目印に、切通しへ入って行こう
アスファルトを避けるように、小道へ入って行く。火の見下のやぐらの断崖(これは壮観)から、大仏切通しの古道ルートへ。上りは速足、下り駆け足、気持ち良いペースを探す感じ。夏だとドッと汗をかくけど、この日は寒いくらいなので、ペースを上げてちょうどいいくらい。登り切ればちらりと海が見える。海・山・町の分岐点だ。この山を越えれば市民が旧鎌倉(キュウカマ)と呼ぶ、海と山に囲われたエリア。振り返れば新鎌倉(シンカマ。これは誰も言ってないけどね)。もう海は近い。
やぐらの断崖と切通しを行く
海だよ、しょもたん!
観光エリアでは、観光客の邪魔をしないよう、裏道を選びながらくねくねと、遠回りしながらも気の向くままに行く。由比ヶ浜通りにぶつかり、また路地を選んで、江ノ電を渡って、気の向くままにさらに路地を行こう。ここまでくれば、もう海はどこにでもふっと現れる。
坂の下から由比ヶ浜。この日のサンセットは大島までよく見えたのでした
最短コースなら3キロ20分くらいのルートを、食べたり歩いたり、登ったり降りたり。モノレールのようにノラーリクラーリと、5キロ1時間半くらいでしょうか。さてと、今日はこの後、どこまで回って行こう。江の島方面か、鎌倉方面か。次回はどこをブラーンとしよう。