第2回 驚き、ときめき、楽しい初めてのモノレール
何度も湘南・鎌倉に足を運んでいたのに、湘南モノレールの存在自体を知らなかったという写真映像作家の松井みさきさんと大船で待ち合わせ。JRの自販機で「鎌倉江の島パス」を購入してからモノレールの大船駅にやって来ました。さあ、いよいよ初乗車です。
普通の電車に乗り込むように
「もう電車、来てますよ」
改札を抜けたときにはすでにホームに車両が停車中でした。普通の電車のように乗り込んで、普通の電車のように着席しました。発車ベルの音、ドアが閉まるシーンも、みさきさんがいつも乗っている電車とあまり変わらない印象だったはずです。
ところが、グーンと加速してホームを滑り出し駅舎を出ると、いきなり高い視点から大船の街並みを見下ろすことになりました。
いきなり空中に飛び出すように
「えっ、ちょっと、あれっ、あっ、足もとがない、ぶら下がってる?」
湘南モノレールを知らなかったみさきさんにはあえて懸垂式であることも告げていなかったので、窓の外を見下ろして驚いたようです。普段はクールな雰囲気が魅力のみさきさんですが、ちょっと動揺。
「意外にスピードも出ていてびっくりですね。もっとゆっくり走るものかと思っていました」
予想通りの反応にうれしくなりました。
遊園地のジェットコースターは苦手だというみさきさん。
「最初は少し怖かったけど、だんだん楽しくなってきました」
頑丈そうな車体に包まれている分、安心感があるのでしょう。普通の電車のようで、ちょっと普通じゃない乗り心地をシッカリ肌で感じてもらえたようです。
車窓に広がる風景を手に取るように
「富士山ですよね、うっすら見えてますよ、ほらあそこ」
街を抜けて開けてきた右手の車窓から遠くに山並みが。今日はあまり視界が良くないのに、めざとく富士山を見つけました。天気が良ければかなり眺めのいいパノラマが広がる場所です。写真映像作家のみさきさん、いったいどんな構図を描いているのでしょう。
まるでアトラクションのように
「え~っ、まるでアミューズメントパークのアトラクションですね!」
遠くまで見渡せる景色から一転、真っすぐな道路の上空を下ると湘南深沢駅に到着。今度は上昇、緑が増えたと思ったらトンネルに突入。車窓の外は真っ暗に。
トンネルから飛び出すと今度は降下、左にカーブ。その間、揺れに身を任せるみさきさん。
「空を飛んでるみたい! 単純に乗っているだけで楽しい。でも、いつも電車に乗っているときのように本を読んだら酔いそう」
と笑います。
いつもの写真を撮るように
「わー、海。アドレナリンが出ちゃいます」
目白山下駅が近づいてくると今度は左手の視界が開けました。さらにテンションが高まったと思ったら、急に静かに。車窓越しに、この日初めてカメラを構えたみさきさん。そして車内では、たった1枚だけシャッターを切ったのです。
上がみさきさんのホームページにアップされた写真です。それは間違いなく初めて乗った湘南モノレールからのショット。でも、車両も駅のホームさえ映り込んではいませんでした。
ただそこには、いつものみさきさんの色で、いつものみさきさんらしいちょっとクールで、ほんのりやさしい画像が切り取られていたのです。