お次は拠点を少し移そう。湘南モノレールで富士見町駅からふた駅、湘南深沢駅へ。
モノレール開業とともに宅地化が進められてきた沿線界隈でもここは歴史が違うようだ。
駅からまず向かう湘南モノレール本社事務所があることでも、沿線でも中心街の位置づけにあることが窺えた。
それではモノレール本社事務所へ。ここは事務所の敷地がドンツキになっているのである。
敷地がドンツキだというならば、車庫や駐車場のある戸建住宅だってドンツキじゃないか?というご意見もあろう。それはその通りなのだが、観察していると、敷地内の通路の一部が、隣接する商業施設の駐車場へのアプローチであったり、通行車のなかには敷地を車両のUターン箇所として活用されている向きも見られ、単に敷地と割り切っては見られないのであった。
さらには本社事務所はモノレールの車両基地ともなっており、モノレール本線から引き込み線によってつなげられている。いわば、モノレールの架橋部においてもドンツキ、更に言えば地上・高架ともにドンツキというマルチレイヤー型のドンツキ?
本線から車両基地へ引き込み線のドンツキ
これはひょっとしたら世界的にもレアなドンツキなのではないか、などと見上げながら考えをめぐらせていると、木村理事が、
「ここ、ラクガキありますね。「バカ」って、ここに」
見るとレール橋脚の足元に。
「ただのラクガキじゃないですね。橋脚の塗装が乾く前にでもやられたんですかねえ」
「なんかこう、毛筆みたいな力強いフォントだね」
「消すのも大変なんで残しておいた?それともあえて残して湘南モノレールさんの度量の広いところを示しているのかも」
「ラクガキってこういうとき何でいつも「バカ」って書かれるんでしょうね」
すっかりドンツキは置いてきぼりである。
じっさい、クエストの最中にはよくあることで、ドンツキについて四の五の理屈を述べあうよりも、こういったインパクト大な物件のほうがおのずと耳目は集まる。参加者を募って行うクエストでは、多様な観点・価値観を持った人たちが集まる。必ずしもゆく先々、ドンツキだけに着目させるのではなくそうした方々の発見も大切にしたい、協会の活動を続けてゆくにあたっても肝要なこととして心得ている。
当会のヤスシコーチ理事もこの物件が気に入ったようで、
「これまでで写真に撮ったのはここだけですね」
仕事しろよオイ。