富士見町駅付近の探求をもうすこし進めよう。こんどは駅からすぐの小径をゆく。この小径、しばらくゆくうちにこちらも前出の「数え役満ドンツキ」同様、線路跡で突き当たる、、、のだがよく見ると突き当たった曲がり角に細道が伸びており、線路をまたぐ抜け道となっていた。
一見、通り抜けられなそうな小径だが(後日撮影)
このように抜け道となっていた。舗装もオシャレだ
「これはいいマタドール型だ」
「こっちから見てもドンツキって分からないよね。ドンついている場所にきてやっと先折型だってわかる」
「線路が遮っているから一見蜃気楼型だけども、これはダマされたわ」
と協会の面々が口々にいいあう。するとそこに宮田さんが腑に落ちない表情で、
「ここ、抜けられるんだけど、協会としてはアリなわけ?」
さもあろう、行き止まりの探求を旨とするドンツキ協会が、べつだん残念がる様子がなかったからで、
「ドンツキなくとも心晴れやかなるべし、が心構えなんで、別にイイんですよ」
当協会では、ドンツキに名前をつけるひとつの手段として、ドンツキの様々な形からなる「ドンツキ形状分類表」を制作し、まずは形からドンツキを分類しまた命名する手法を提唱している。
ドンツキ形状分類表
そこには、本物件のような、一見通り抜けられなさそうだけども抜けられてしまう道を、闘牛士のマントになぞらえて『マタドール型』と定義している。厳密にはドンツキではないけども捨て置くには惜しい存在であるとして、ドンツキのいちジャンルとしてむしろ珍重な扱いを受けている。
「世の中には『マタドールの法則』というのがありまして、人間にはこのような道を通ることに快感を覚える習性があるのか、生活道にいちどこのような抜け道を見つけてしまうと、それからは抜け道を通ることがクセになってしまうんですね」
再び繰り出されるドンツキ専門用語に、あ、そうなのという感じで、宮田さんも納得してくれたようだ。