「広町行かない?」
先週の日曜日、息子に誘われた。
誰に似たのか虫好きで、夏はことあるごとに「広町に虫探しに行こう」と誘われたものだが、寒くなり虫の姿も少なくなるにつれて、広町の「ひ」の字も言わなくなった。が、先日、小学校の課外授業で広町に行き、楽しかったからまた行きたいと言う。
とはいえ、こちらも久しぶりに何もない日曜日。たまには家でのんびりしたいし、今日は寒そうだから正直カンベンしてほしい。気のない返事をしたら、
「俺は見ていないけど、カマキリのたまご(卵のう)もあったらしいよ」と言う。
なんと!
カマキリのたまごといえば、息子が物心ついて親子で虫探しに出かけるようになってから、見かけなかった年はない。でも、今シーズンはまだひとつも見つけていない。そのことが日頃からなんとなく気になっていたのだ。
カマキリのたまごごときでそんな...と失笑されるかもしれないが、
「今年の春はまだ一度も花見をしていないな」
「今年の夏はまだ一度も花火を見ていないな」
「今年の秋はまだ一度もサンマを食べていないな」
と同じレベルといったら分かっていただけるだろうか。
広町に行けば絶対見つけられるだろう。
湘南モノレール「西鎌倉駅」
広町へは「西鎌倉駅」から歩いて15分もあれば着く。完コピしているガス会社のCMのセリフを言いながら歩く息子の後ろについて、住宅地を抜けていく。
よそ様のお宅を眺めながら歩くのは楽しい。ここは「新鎌倉山」と呼ばれている新興住宅地。庭も植栽豊かで綺麗に手入れされていて見飽きない。気付いたらもう広町の入口だ。
5つある入口のひとつ「御所谷入口」
正式名称は「鎌倉広町緑地」。およそ48ヘクタールの広大な緑地には、富士山や相模湾が見渡せる眺望スポットや、樹齢200年以上といわれる桜の大木など、散策に楽しいスポットがたくさんある。希少な動植物も数多く、ホタルが生息する地としても名高い。ここではゲンジボタルだけでなくヘイケボタルも見られる。ホタルの源平合戦が繰り広げられるなんて、なんとも鎌倉らしいではないか。
広場
管理棟前の広場に着くと「オニゴ(鬼ごっこ)しよう!」と誘われた。あまり気乗りがしなかったが、お義理でとりあえず追いかける。すると逃げだした息子が急に「ほら!みてみて!」とコースアウトした。オニゴはどうした、おい...。
ガマの穂
指さす先にはガマの穂が。破裂してそのままの姿なのでなんだか無残だし亡霊のようだ。そう言うと、「ボーレイ?俺たちは綿菓子みたいだねって言ってたんだよ」と。
"俺たち"はなかなかカワイイ表現が出来るらしい。
そのまま歩くと田んぼエリアに。
田んぼ。今はお休み中。
夏には田んぼの脇の川でザリガニ探しをしていたっけ。
今はザリガニも冬眠中だろうなと思いつつ、何かいないかふたりで川を覗いていると...「あっ!何かいるよ!」との声が。なんだ、カワニナか、と思いきや...
あれ?
これってもしかして...
「ホタルの幼虫?」
声がそろった。