鎌倉にある「夫婦池公園」は、カワセミや貴重な植物が見られる自然豊かな散策公園。穴場のお花見スポットとしても人気が高く、鎌倉山にも通じているのでちょっとしたハイキングにもってこい。そんな夫婦池公園のすぐ近くにあるのが「かまくらのおとうふやさん 豆寿」だ。
「豆寿」の読みは「とうじゅ」。
「赤ちゃんから大人まで、みんなの食を大事にしたい」という思いから、豆寿の豆腐は、100%手作りで安心安全。厳選した国産大豆と鎌倉産のにがりを使用した絹や木綿豆腐をはじめ、ふんわりした厚揚げや、おからコロッケ、湯葉春巻きなどの惣菜のファンも多い。また、豆腐屋さんならではの生のおからや豆乳もあり、おすすめのレシピを教えてくれるのも嬉しい。
定番のお豆腐や人気の惣菜が並ぶ。
「柚子とうふ」など季節限定の豆腐もイチオシ。
豆乳たこ揚げ。ふんわり美味しい。
旨味も栄養もたっぷり!生のおから。
高橋さんご夫婦がふたりで営んでいるこの豆腐屋さんには、放課後になると大勢の子供たちが走ってやってくる。お目当ては...
駄菓子天国。
この駄菓子の数々。子どもたちがダッシュで向かってくるのも納得、豆寿は豆腐屋さんでもあり、駄菓子屋さんでもあるのだ。
モロッコヨーグル。あったなぁ。
大人も思わず手が伸びる、懐かしのお菓子たち。
スーパー、コンビニでは見かけないレアなお菓子も。
でも、なぜ豆腐屋さんに駄菓子が?
高橋さん曰く、
「今はもうありませんが、私が子どもの頃は、この近所にシマダ商店という駄菓子屋さんがありました。楽しかった思い出がたくさんあって...今の子どもたちにもそんな場所があるといいなと思って。」
コンビニでもお菓子は買えるが、会話があって交流があって、というあの雰囲気は、駄菓子屋さんならではないかと。そんな思いから、豆寿にも駄菓子も置こう、子どもたちが気軽に安心して集まれる場所にしよう、と決めたそう。
実際に、豆寿に子どもたちが来ると、どれが美味しいか、とか、くじの当たりハズレで大盛り上がりしたり、連れてきた妹や弟の買い物の手助けをしたり、その輪に高橋さんが自然と入っていたりして、何やらみんなでワイワイ楽しそうだ。
それは子どもだけではない。豆寿を訪れる大人も、レジにいる高橋さんと世間話などをしつつ、買ったものを片手に笑顔で帰って行く。人々の交流がここにはあるのだ。
手作りの豆腐屋さんと駄菓子屋さん。一見、何の関係もないように思えるが、つながりが見えてきたような気がする。
「おとうふ作り教室」も開催している高橋さんご夫妻。
ところで、豆寿では、豆腐の材料である大豆にもこだわり、青森県から「おおすず」という品種の大豆を取り寄せている。が、それとは別に、とある大豆を自分たちの手でも育てているという。
その大豆とは「たのくろ豆」。鎌倉地産の大豆だ。鎌倉中央公園(湘南モノレール「湘南深沢駅」から徒歩12分ほど)で大事に育てられていた苗を、頼み込んでようやく特別に分けてもらったそう。
たのくろ豆。
豆を見せてもらうと、普通の大豆よりちょっと緑がかった感じだろうか。豆寿で育成しはじめて今年で8年目。6月頃に種をまき、夏に出来た枝豆をそのまま放置し、カラカラにして12月頃に大豆として収穫する、というのが、例年のスケジュールのようだ。
大豆づくりは楽しいけれど試行錯誤も多いとのこと。「畑にタネ(豆)をまいたらすぐにハトやトリたちが豆を食べにくるんです。そこで鳥よけのネットをかけました。」と高橋さん。そして、無事に芽が出て育ち始めると、今度はその葉を食べにカメムシがたくさん飛んでくる。即座に虫よけネットをかけ、これで一安心...と思いきや、次なる敵は、土の中からやってきた。土から出てきた虫にとっては、大豆の葉が食べ放題のパラダイス。ネットがあるから自由はないが、ここにいれば不自由はない。「これはさすがにマズい、と、一度かけたネットを外しました。甘やかしすぎもダメみたいです...。」
がんばれたのくろ豆。
猛暑、台風、長雨などの天候にも耐え、無事に大豆が収穫できた暁には、いよいよたのくろ豆の豆腐が誕生する。"鎌倉出身、鎌倉育ちの大豆"と"鎌倉産のにがり"を使った、生粋の鎌倉豆腐だ。大豆の収穫量にもよるので毎年必ず販売されるわけではないが、もし万事うまくいき販売されるとしたら、その時期はおそらく3、4月頃とのこと。こんな話を聞いてしまったら、たのくろ豆の豆腐をなんとしても味わってみたくなってしまったではないか。店頭に並ぶ場合は、フェイスブックやホームページでその旨を知らせてくれるとのことなので、時期がきたらチェックすることにしよう。
色々とお話を伺っているうちに、野菜がんもがちょうど揚がり、あまりに美味しそうだったので思わず購入。「揚げたては最高ですよ。今すぐ食べてもいいくらいです。」とおすすめいただいたので、いそいそと夫婦池公園のベンチに移動し、カモたちを眺めながらひとかじり。アツアツは本当に最高!ごちそうさまでした。
美味しいものがあると感づいたか。(夫婦池公園/下池)
桜の季節もおすすめ(夫婦池公園/鎌倉山へ続く道)
モノ散歩-湘南モノレール「湘南深沢駅」から徒歩20分
「かまくらのおとうふやさん 豆寿」
http://www.toju-kamakura.com/
鎌倉市笛田3-42-17
0467-32-1324
営業時間:10:00-18:00
定休日:日曜、祝日