湘南モノレールは大船と湘南江の島の間を14分で走行している。レールからぶらぶらとぶら下がる懸垂式というタイプだ。ぶらぶらしながら住宅街をすり抜け山を越え、最後は海に着く。そのアトラクション感満載な乗り心地は魅力の一つだが、地上から見上げると、なんてことない住宅街の真上に「ゴゴゴゴゴ...」と急に飛んでくるように列車が現れ瞬く間に飛び去って行く姿は、たまらなくシュールでおかしい。
肩車して手を伸ばしたら当たりそうな距離をモノレールが走り抜ける
この沿線で生まれ育った人にとっては、モノレールが頭上を飛んでいる姿が日常的な光景であり、原風景であり、故郷の懐かしい思い出なのだ。そう思うとなんだか面白い気持ちになる。
路上園芸とモノレール
さて、富士見町駅からようやくモノレールに乗って、ふた駅隣の湘南深沢駅で降りた。湘南深沢は湘南モノレールの中間地点。駅周辺にはスーパーや飲食店、小売店のほか、野菜の無人販売機まであり、庶民的でどことなくのんびりとした雰囲気が漂う。多くの人で賑わう大船や江ノ島からそう遠くない場所に、こんな静かな街があることに驚く。
のどかな光景の頭上をモノレールが飛び交う非日常感
湘南深沢駅のすぐ横には広大な草原地帯が広がっている。なんでも地元の方に「サバンナ」と呼ばれているという噂。草原の彼方に緑の塊が動物のようにうごめいているように見えるのもサバンナっぽい。
建物にモコモコとしのびよる緑の生き物たち
サバンナ周辺を散策していたところ、ふと目線を感じた。
土からざばり!ダイオウイカ
目線を感じたほうを見てみると、なんとダイオウイカが土から顔を出していた。いや、正確には木なのだけど、どうだろう、もうこれ、分類上はイカでいいんじゃないか。って、はからずもダジャレになってしまった。それにしてもおどろおどろしいガンの飛ばし方である。物言いたげな表情もなんともいえない。一見のどかだと思っていた深沢に巨大イカが潜んでいたとは。一気にわけがわからなくなる。
湘南深沢駅の近くを流れる新川という細い川沿いをサバンナと逆方向にてくてく歩いていくと、深沢小学校が見えてくる。その裏手には閑静な住宅街が広がっている。住宅街では炎とか、雷魚とか、食パンとか、いろんな形の庭木を楽しむことができる。
炎
雷魚
食パン
先ほどの巨大イカに比べると、ゆるキャラ的な安心感を覚える佇まいである。庭木は路上園芸界のゆるキャラ、と覚えておく。(つづく)