続いて、大きくカーブするレールの近未来感と、雑然とした昭和の町並みが印象的なこの写真。
モノレールの橋脚やレール自体は当時と変わらないので、特定が容易だ。
大船駅から歩いて数分の場所である。
どうだろう、レールの曲がりぐあいがピッタリだ。しかし、周りの様子がそう取っ替えだ。
ただ唯一、中華料理店の「喜良久(きらく)」だけが現在でも営業している。
ご主人の高木さんにお話を伺ってみた。
―このお店はいつ頃から営業されているんですか?
高木さん「この建物では昭和42年ごろからかな? 店自体はもっとまえ昭和33年ごろからやってるね」
―高木さんは、開業当時にモノレールに乗ったりしましたか?
高木さん「いやー、すでに大学生だったからねえ......正直言うと、今までモノレールに2回ぐらいしか乗ったことないんだよ」
―えぇ! 2回! 地元に住んでると意外とそんなもんなんですかね......。
高木さん「2回乗ったうちの1回は2駅ぐらいはなれた知り合いの家の通夜に行くのに、乗車券もらったから......それで乗って、それっきりかなあ」
―江ノ島なんかに行くときは、車使って行っちゃう?
高木さん「そう、車で行っちゃうんだよね、このへんで車もってるひとはたいていそうじゃないかな、もともと、このモノレールの下にある道は、有料道路だったんだよ」
―え、そうなんですか?
高木さん「京急の道路だったかな? モノレールが出来る前まではお金払わないと使えない道だったんだよ」
後で調べてみると、たしかにその通りで、そもそも、湘南モノレールは、この「京浜急行線」という有料道路の上に作られた路線であった。
―いちおうこれ、湘南モノレールのサイトに載せるためのインタビューなんで......なにか思い出かなにかありますか。
高木さん「そういえば、同級生の妹かな? 開業の日に花束渡したりしたとかいう話きいたことはあるね」
開業の日......そういえば、湘南モノレールから貰った写真の中に、開業セレモニーの写真も入っていたはずだ。
―もしかして、この中に同級生の妹さんいらっしゃいますかね?
スマホに入れておいた湘南モノレール開業の日の写真を高木さんに見てもらう。
高木さん「うーん、ちょっとわからないなあ」
たしかに、写真は小さく、はっきり写ってないのでわかりづらい。
しかし、安全祈願の神主や振り袖の女性、造花で飾り付けされたモノレールの車体など、昭和のセレモニーという雰囲気があり、郷愁をさそう。