この形になった理由を考えていくと、構造物の眺めはもっと面白く感じられてくる
土木構造物の形は、様々な条件をクリアするように合目的的に決定されている。当然のことながら個人の買い物のレベルをはるかに超えるお金が動くので、生み出される価値に対して最小の金額で済むように、多くの関係者が絶え間なく努力をしている。そして、安全であることが絶対条件のため、それを維持するだけでもたいへんな労力がかけられている。
つまり、土木構造物の姿かたちには、何らかの現実的な理由が必ずあるのだ。しかもそれはたいてい複合している。インフラの風景をじっくり見続けていると、「どうやって問題を解決しているか」という理由を推測できるようになり、それが楽しくなってくる。さらに、そこに地域文化や時代背景などの社会環境がうっすら反映されていることもあるので、知的好奇心がどんどん刺激されていくだろう。
推測が正しいかどうかは別次元の話として、感激を与えてくれる土木構造物を様々な角度から読み解いてみよう。湘南モノレールは人それぞれの楽しみ方を幅広く提示してくれる格好の題材だ。
駅ホームを支える支柱と軌道桁を支える支柱が混在している様子は、建築構造物と土木構造物の違いが表れている