湘南深沢駅から再びモノレールに乗車した。湘南深沢を過ぎるとモノレールは急上昇し、そこからトンネルにつっこんでいく。トンネルを過ぎると毛深い緑が次々と窓の外に迫ってきて隣の西鎌倉駅に着く。西鎌倉はモノレール沿線の中でも特に緑が濃い。あちこちで巨大化した緑の怪獣が、ウネウネとあたり一帯を飲み込まんばかりの勢いだ。
植物のふりした怪獣
街灯をマイク代わりにリサイタル中の怪獣。我が物顔もいいところだ。
歩道にせり出す怪獣たち
歩道の上にもモジャァ~っと緑がかぶさってくるので、歩いていると飲み込まれそうな気分にすらなる。 せり出す怪獣たちと格闘しながら、片瀬山〜目白山下まで一気に歩いていく。このあたりは海を臨む起伏に富んだ地形に閑静な住宅街が広がっている。遠くの方に海が見えてくると心なしかテンションが上がる。が、ここでもなお、緑の怪獣たちは静かに猛威をふるっているので気が抜けない。
住宅地をおそう怪獣
電柱に扮する怪獣。好物は電気。活動時期は主に夏。
目白山下駅周辺までくると、サーフボードが軒先に置かれた民家や「しらす」の看板がちらほらと目に入り、海がいよいよ近づいてきたことを実感する。 この辺は至るところに迷路のような細い路地が隠れており、探検気分で散策できる。住宅がわりかし密集しているせいか、家屋の周囲に植木鉢が置かれる生活密着型の路上園芸が多いようだ。とくに各地の路上園芸でおなじみのアロエが目に付く。
すき間から脱走を図るアロエ
火傷に胃薬に、一家の救急箱的存在として何かと役に立つアロエだが、何と言ってもその暴れん坊な見た目が魅力である。強面なビジュアルで周りを威嚇してしまうが、実は心優しいヤンキーといった感じだろうか。
群れるヤンキーたち
観光客で賑わう江ノ島とほど近いが、驚くほど静かなこのエリア。西鎌倉を超えてから散々遭遇してきた緑の怪獣も、このへんまでは追いかけてこないようでひと安心。
...と思ったらとんでもない怪獣があらわれた。
ガシッ!立派な爪が地面を掴む
青々と茂る樹の根元でぎらつく、ゴツゴツした巨大な爪。大地をむんずと掴み、今にも歩き出さんばかりである。
見よ、このごつい爪!
痺れるほどかっこいい。が、夜見かけたら間違いなく不気味だろう。 静かな住宅街にこんなラスボスが潜んでいるとは。路上園芸探索は、最後の最後まで油断ならない。 怪獣から逃げるように迷路のような路地を行ったり来たり登ったり下ったりしていると、やがて終点の湘南江の島駅が見えてきた。
湘南江の島駅の駅舎
湘南江の島駅の駅舎の壁には、緑の宇宙人が待ち構えていた。(つづく)
待ち構える宇宙人・脳内イメージ図