昔の風景を覚えているだろうか。
子供の頃にみた、町の風景。どの店がどこにあって、どんな建物がどこにあったのか......。歳をとるごとに薄れる記憶を補おうと、古いアルバムを引っ張り出してきても、子供のころの自分たちの姿は写っているものの、街の姿そのものを写真におさめていることはなかなかないのではないか?
昔は、現像にもプリントにもお金がかかる貴重なフィルムを、街の風景なんかを撮るのにつかうなんてもったいないことだった。
昔の写真、特に風景をおさめた写真は実に貴重なのだ。
湘南モノレールの社内に、湘南モノレール開業前から開業後にかけての記録写真が、いくつか残っているという。写真を見せてもらったところ、当時の街の様子も含めた記録写真がいくつも出てきた。貴重な風景の写真だ。
その写真を元に、その場所に行って、今はどんなふうになっているのか? 同じアングルで写真を撮ってみたい。
まずひとつ目の写真がこちらだ。
町並みは完全に昭和だが、モノレールだけ近未来感があって面白い。「AKIRA」のネオ東京の下町みたいな雰囲気がかっこいい。
こちらはカラー写真。橋の上をモノレールが走っている。遠くに大船観音が見え、左側にひときわ大きなビルが建っている。
こちらは、改札口と詰め所だ。右上のマリンランド、海獣動物園の広告や、ギャランGTOの広告にも思わず目が行く。三菱自動車の広告が入っているのは、もともと湘南モノレールが三菱グループの出資でできたからだろうか。
用水路の上をレールが走っている。遠くに商店がいくつかみえる。これらの商店は今でもあるだろうか?
大船にやってきた。
前出の古い写真、最初の三枚は、いずれも大船駅周辺だということはわかっている。
改札口の場所はすぐにわかりそうだが......。
......なんだか違うような気がする。
そもそも、改札の向きがちがう。
古い写真では、おそらく、改札は列車の向きと平行にあるけれど、今の改札は向きが90度に曲がっている。
いくら40年以上経っているといっても、レールの向きの方が90度変わるというのはちょっと考えられないので、改札の方が移動したと考えるほうが自然だ。
ということは、当時の改札は、現在、大船のルミネとの接続部分にあったのではないか?
すると、この部分が、当時の改札だったのでは?
現在は、駅の東西をつなぐ通路となっているけれど、そもそも40年ほど前の大船駅の西側は線路しかなかったため、東西をつなぐ通路は必要なかった。したがって、当時はこの通路の上に駅事務所があったと考えても不自然ではない。
モノレールのレール自体の位置は変わってないものの、駅舎の構造は大きく変化した。