では、ここで簡単に路線の見どころを案内してみよう。DB(日本のJRみたいな鉄道)のヴッパータール中央駅(Wuppertal Hbf)に接続する中央駅(Hauptbahnhof)から乗ることになると思うけど、これがちょうど路線の真ん中あたりなので、どちらへ向かうか迷うところだ。まず比較的マイルドなクルーゼ(Kluse)方面へ向かうとしよう。
終点のオーバーバルメン(Oberbarmen)でループによる方向転換を見て、今度は反対側のフォーヴィンケル(Vohwinkel)方面へ一気乗りだ。こっち側の区間では駅も全て川の上に設けられている。
駅ももちろん川の上
ふたたび中央駅を過ぎ、ヴェステンデ(Westende)とファーレスベッカーシュトラッセ(Varresbecker Straße)の間は、川の両岸に建つ化学工場をつなぐパイプを縫って走る最初の絶叫区間だ。おおお、そこまでサービスするか。まばたき厳禁のとんでもない車窓に釘付けになっていただきたい。
この先、絶叫区間となりますのでご注意ください
こんなとこ通っていいのか
何度もシャッター押したけど極度の興奮のためか全部ブレており、ご覧の通り何を撮ったのかよくわからない写真になってて笑った。それって写真家としてどうなのかとも思うが、まさか9年も後になってここが盛り上がりポイントになるとは予想できなかった。ようやく時代がわたしに追いついたとも言えるが、見せる写真がこれでは説得力よわい。
そしてゾンボーナーシュトラッセ(Sonnborner Straße)の先ではなんと、アウトバーンA46の上空を横断する。それもかなり低めに。たぶんアウトバーンの防音壁の上端ぎりぎりのところをかすめて走ってるものと思う。下半身が掬われるようで背筋がゾクゾクっとする不思議な快感でみごと昇天。この空飛ぶ絨毯感覚はまさに懸垂式の華といえよう。昇天してたのでここは写真がなくて申し訳ない。
駅ももちろん道の上
というわけで、最後に懸垂式の元祖家元ヴッパータールをわれらが湘南モノレールと比較してみたい。
ヴッパータールは工場内やアウトバーンの上を飛んでくれてめちゃくちゃ面白い。スパルタンなコーナーリングと構造物のヴィンテージ感なども売り物と言えるが、残念ながら高低差がほとんどなく、谷間をウロウロしているだけとも言える。一方、湘南モノレールのすごいところは、やはり地形に対し真正面からチャレンジしているところだと思う。ヴッパータールには見られない「山越え」をやってのけているのはポイント高い。
湘南の圧巻は2本のトンネルだ。世界中のどこにも、懸垂式モノレールがトンネルをくぐるなんてシチュエーションは存在しないのではないか。世界遺産はないにしてもギネスぐらいには申請したほうがよいのではないか。エンターテインメント性を兼ね備えた公共交通機関というカテゴリーがあるとしたら、湘南モノレールはまちがいなく世界のトップクラスであり、そのエクセレンスはヴッパータールに比肩する。あるいはヴッパータールを超えているかもしれない。
こんな面白い乗り物、他にありません!(湘南モノレール)