江の島への近道 湘南モノレール株式会社

第2章 鎌倉もののふのメシ / 第3章 自宅は鎌倉幕府

「鎌倉もののふのメシ」という企画もスゴい。

 鎌倉武士が食べていたとされる陣中食を忠実に再現。干飯、芋茎の味噌汁、味噌玉。焼きおにぎりは現在の醤油のルーツ・豆醤(ひしお)で味付ける。酒は濁り酒に蜂蜜酒だ。ケータリング形式で、鎌倉さんが監修し、調理専門家に作ってもらっている。

「文献を参考に再現していますが......、味は正直、当時のままかどうかわかりません。なにしろ1000年前の食事を食べたことある人は生きていませんから(笑)」

 確かに。ただ、農村では現代でも食べられていたり、食材自体は今でも手に入るものも多いのだとか。

「ただし、戦陣食なので、味付けは非常にしょっぱいです」

 ほかには、年に10数回の公演を続けている「鎌倉もののふ一座」というのもある。

「演目は、『鎌倉四兄弟 ─最後の晩餐─』の一つしかないんですが、毎回脚本家やキャストを変えて演じています」

 深沢砦での公演のほか、時にはお寺などに出張することもあるという。

mono_03_izakamakura243.jpgもののふのメシはイベントなどに出張提供も可能だとか

第3章 自宅は鎌倉幕府

 ところで鎌倉智士さん、その立派な名前は当然、芸名ですよね?

「いや、実は本名なんです。かつて鎌倉を治めていたのは、鎌倉一族。私はその一族の末裔にあたるんです」

 日本人の苗字はルーツはだいたい地名だ。鎌倉に住んでいた一族だから、「鎌倉さん」になったのだという。しかし鎌倉を治めていたのが鎌倉一族という話は初めて聞いた。歴史にはそれなりに詳しいと思っていた自分の無知を恥じる。

「そもそも皆さん、鎌倉といえば〝源氏ゆかりの地〟だと思っていますよね。でも、実は鎌倉氏は平氏だったんです。だから鎌倉はもともと、平氏ゆかりの地なんですよ」

 そうだったんですか。

「鎌倉はもともと、平氏がルーツの鎌倉氏が開墾して、支配していた地。そこに、源頼朝が挙兵して攻め込んで来た。その時に付き従っていた武士たちだって、ほとんど平氏の血筋なんです」

 そもそも、頼朝の父・義朝が破れて以来、日本の武士はほとんど平氏になっていたんだとか。だから、頼朝の頃の合戦は「源平合戦」といいつつ、本当は平平合戦だったのだ。関東で平氏の一派が頼朝を担ぎ、対立派の有力一族のひとつが鎌倉氏だった。

「それで、『ライバルを討つべし』ということで、頼朝は鎌倉へ攻めこむことになった。裏を返せば、それだけ鎌倉氏の存在が大きかった、ということでしょうね」

 そんな鎌倉一族も頼朝に敗れて没落してしまい、現在では鎌倉に3軒ほどを残すのみ。その名を継いでいるのが、鎌倉智士さんというわけだ。

「鎌倉の歴史系のイベントなんかでは、義経や弁慶、静御前なんかも出てきますよね。頼朝はともかく、彼らは幕府鎌倉にはほぼ足を踏み入れていません。鎌倉氏のほうがはるかに、鎌倉にゆかりがあるんですけどね」

 余談だが、「幕府」とは政庁であり、時の権力者の居館のこと。

 「だから自分は、自宅のことを鎌倉幕府と呼んでいます」

mono_04_IMG_6755_k.jpg鎧の下の装束も当然ながら平安鎌倉期のもの

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今泉慎一
編集者・ライター・ときどきカメラマン。1975年広島県生まれ、東洋大院中退(哲学専攻)。編集プロダクション・風来堂代表でもある。旅と歴史(特に戦国時代)、サブカルチャー全般が得意分野。近年はもっぱら、全国の山城ばかりを攻めている。
 著書に『おもしろ探訪 日本の城』(扶桑社文庫)、編著・監修に『ハンディ版 日本の名城 データブック200』『『その後』の廃城』『『山城』の不思議と謎』(以上、実業之日本社)など。

風来堂ホームページ:http://furaido.net/
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